USGS 傘下の HVO(ハワイ火山観測所)の情報やニュース記事からその後の展開をかいつまむと ――
- プウ・オオ火口とナパウ火口の間で発生した割れ目噴火は、休止と活動を繰り返しながら徐々に激しさを増している。溶岩を噴出している亀裂は長さ 200m にまで拡大。噴出する溶岩の高さは、当初の報道では 65フィート(約20m)と伝えられていたが、その後 80フィート(約25m)、100フィート(約30m)と徐々に高くなっている。
- キラウエア・カルデラや東地溝帯での地震活動は、きわめて高いレベルが継続している。傾斜計のデータでは、山体の収縮傾向は減速している。
- 二酸化硫黄ガス(亜硫酸ガス)の噴出量はこれまで 700トン/日だったものが 10000トン/日を上まわっている。地表に近づいたマグマが揮発成分にきわめて富んでいることを示唆している。
- 今回の噴火が新たなマグマの貫入によるものか、これまでプウ・オオ火口やハレマウマウ火口の下にあった従来のマグマが地中に新たなできた亀裂を通って迂回したものかはわかっていない。ただし、今回の割れ目噴火の直前に、ハレマウマウ火口内で溶岩湖の湖面が急激に低下した現象や、プウ・オオ火口で崩落が起きたことなどは後者を示唆している。
以下の写真は HVO のサイトに掲載されているキラウエア山の写真です。手前で噴煙を上げているのがプウ・オオ火口、噴煙の左上方(黒い字で少し見にくい)がナパウ火口です。この 2つの火口の間で今回の割れ目噴火が起きています。地平線の中央やや右にハレマウマウ火口から上がる噴煙が写っています。この写真に写っている広大な地域ですら、キラウエア山の一部にすぎないのですからから驚きです:
今回の噴火の影響でしょうか、ハワイへの観光客は増加しているとのことです。ただし、ボルケーノ国立公園は以下のような立ち入り禁止区域を設けています:
Closure Update - Monday, March 7, 2011: Chain of Craters Road, all east rift and coastal trails, and Kulanaokuaiki Campground are closed until further notice.
None of the current eruptive activity can be seen from within the park.
通行止め 最新情報 (2011年 3月 7日付): チェーン・オブ・クレーターズ・ロード、東地溝帯と海岸沿いのすべての道、クラナオクアイキ・キャンプ場は別途通知するまで閉鎖する。
公園内から現在の噴火活動を見ることは一切できない。
チェーン・オブ・クレーターズ・ロードは、ボルケーノ・ビジター・センターやハレマウマウ火口のあるキラウエア・カルデラから山を下って海岸沿いの溶岩が海に流れ込む地点までを結ぶ道路です。道に沿って、活動を休止した火口がいくつも木立越しに見え、また中腹付近からは、溶岩が海に流れ込むところから立ちのぼる水蒸気を遠望することができます。この道路が通行止めになるということは、ハワイ島観光の目玉が一つ失われることだ思います。
私もレンタカーを運転してチェーン・オブ・クレーターズ・ロードを何度か通ったことがあります。時差ボケのせいで、一瞬ですが居眠り運転状態になり、蛇行して路肩に飛び出し怖い思いをしたこともあります。
過去の関連記事
- マグマ溜まりに孔をあけてしまった男たち (08年12月18日)
- キラウエア山の噴煙の色が突然変化 (09年3月31日)
- 連続噴火 10000日 ― ハワイ・キラウエア山 (その 1) (10年6月7日)
- 連続噴火 10000日 ― ハワイ・キラウエア山 (その 2) (10年6月7日)
- 民家が溶岩に呑み込まれる ― ハワイ島 (10年7月27日)
- 驚くほど浅いところにあったマグマ溜まり ― ハワイ (10年12月25日)
- キラウエア山で群発地震、マグマ上昇 ― ハワイ (11年2月18日)
- キラウエア山で新たな割れ目噴火 ― ハワイ (11年3月7日)