富山大学の発表です。10年も前から観測を続けていたことに驚きました。放送局の電波の異常伝搬を観測する点は、八ヶ岳南麓天文台の串田氏が続けている手法に通じるものがあります。
「低雑音かつ高感度な観測装置を開発し、さらに約 10年間にわたる長期観測を実施することにより、異常な電磁気現象が地殻活動により生じる可能性を確認しました。また、この異常現象が、山岳や海岸の複雑な地形の表層に静電気のような電荷が出現した場合に電波が強く散乱されて生じることを、スーパーコンピューターを用いたシミュレーションにより解明しました。」:
- 地震活動に関連すると考えられる電磁気現象の観測手法の開発と、その物理メカニズム解明の研究成果について (PDF形式)
- Observation and Analysis of Anomalous Terrestrial Diffraction as a Mechanism of Electromagnetic Precursors of Earthquakes
- 富山大、地震発生前に生じる地殻変動に伴う電磁気現象の観測に成功
現在は、観測で検出した地震に関連するとみられる多数の異常信号と、気象庁地震データベースとの整合性を機械学習(AI)を使って確認中とのことです。
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