18年3月7日付「地震電磁気観測衛星を打ち上げ ― 中国」の続報です。
中国の国営通信社『新華社』の記事です。同国が 2018年2月に打ち上げた地震電磁気観測衛星「張衡 1号」(Zhangheng 1)について、同衛星を担当するチーフ・サイエンティストがシンポジウムで発表した内容を伝えています。
「過去5年間で、『張衡 1号』は、M7.0以上の地震を約60回、M6.0以上の地震を約600回、世界中で観測した」、「M6.0以上の地震のうち、最大80%が発生半月前に前兆信号を示すことがわかった」、「衛星が検知する前兆信号は、震源地から数百km離れた場所に現れることが多い」、「地震発生後にデータをさかのぼって特定した前兆信号は多数あるが、事前に検出できた前兆信号はごく少数である。これは、データ処理が複雑で、限られた人的・計算能力で全球データをリアルタイムに追跡できないことが原因だ」、「時間、場所、規模の精確な予測はまだ不可能である」、「衛星からのデータだけでは到底足りない。地震予知には、地震学、電磁気学、測地学、地球化学などの学際的な研究が必要」、「あと10年から20年もすれば、地震予知のブレークスルーが期待できると思っている」、「近い将来、『張衡 1-02』衛星を打ち上げる予定である」:
以下の記事も参照してください:
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