週刊誌の煽り記事ですが、一般の報道ではあまり触れられていない情報が含まれています ―― 「(群発地震の震源が)大涌谷だけでなく箱根カルデラ全体に広がり、特に最近は外輪山の北西側から西側の地域で多発するようになってきた。つまり、マグマの影響が大涌谷以外の場所にも広がっているのだ」、「湖の北西側、湖尻峠に近い山の斜面でも昔から噴気が出ていて、その勢いが6月後半から急に強まったと思っていたら大涌谷で噴火が始まった。今は大涌谷だけが警戒されているけど、違う場所でも噴火が起きる恐れはある」、「元々は箱根全体が大活火山なんだから」:
箱根町は、ウェブサイトで「大涌谷周辺の想定火口域から約700mの範囲を警戒区域とし、立ち入りを規制しています」(箱根町周辺の火山・地震活動 最新情報(7月3日0時00分警戒区域の設定))と書いています。その一方で「規制の対象となる範囲が大涌谷噴煙地を中心とした半径約300mから、半径約1kmに広げられました」と書いた「観光客の皆様へ」(PDF形式)と題した文書(日付なし)もウェブサイトに掲載しています。距離を測る起点が「想定火口域」と「大涌谷噴煙地」で違っているので異なった数字になっているのかも知れませんが、混乱させられます。
また、700mという中途半端な規制の範囲が絶妙な設定であることは、以下の気象庁の資料冒頭にある規制範囲の地図を見るとわかります。黒色の太線で囲まれた地域が居住区域なのですが、700mの規制ではぎりぎりのところで居住地域が避けられています。他の火山では、1kmとか2kmといったきりのいい距離で規制範囲を設定していることが多いのですが、箱根山では違っているようです。仮に規制の範囲が1kmであったとしたら、避難対象となる住居が一気に増えることになります:
- 箱根山の噴火警戒レベル (PDF形式)
規制の範囲は事前に地元と気象庁の協議で決まることになっているようですが、ほんとうに住民や観光客の安全を第一に考えた設定になっているのでしょうか。箱根町は先に掲げた「観光客の皆様へ」という文書で「適切に情報発信をしながらお越しいただくお客様の安全と安心を第一に取り組んでいきたいと考えております」と美辞麗句を並べているのですが疑わしいかぎりです。
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