2010年6月30日水曜日

テンガイハタの幼魚漂着 ― 福井県坂井市

先月末から 1ヶ月間ほど深海魚関係の報道が途絶えていました。久しぶりのニュースです。6月 27日、福井県坂井市(地図)の砂浜に深海魚テンガイハタの幼魚とみられる死骸が打ち上げられているのが見つかりました:

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2010年6月29日火曜日

熱湯十数メートル噴出 ― 北海道・登別温泉

6月 27日、登別温泉町(地図)の間歇泉・大正地獄で大規模な熱湯噴出が起き、周辺への立ち入りが禁止されました:

泥混じりの熱湯が十数メートル以上の高さまで噴き上がったため、周辺には普段はない湯の水たまりが多数でき、泥が広範囲に飛び散ったとのことです。

記事には、「これほど大規模な噴出は07年以来」、「6月上旬から大正地獄内の湯の温度が100度近くに達するようになった」(通常は 60~80度)とも書かれています。


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盛岡市中心部にクマ ― 岩手県

6月 27日、岩手県盛岡市の中心部にクマが現れ、駆除されました:

上記岩手放送の記事には、「盛岡市内でのクマの目撃情報は、他にも、様々な場所から寄せられています」と書かれており、駆除されたクマ以外にも市内に入り込んできているクマがいるようです。


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爺爺岳で温度異常 ― 国後島 (続報 2)

爺爺岳地図)の温度異常が続いています。SVERT(Sakhalin Volcanic Eruption Response Team サハリン火山噴火対応チーム)の 6月 28日付週報によると、人工衛星の 6月 25日のデータでも、爺爺岳の温度異常が確認されたとのことです:
According to satellite data at the volcano Tyatya (Kunashir Is.) June 25, a thermal anomaly was registered.

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2010年6月28日月曜日

地震の発生時刻で天気を占う

このブログの 6月23日付の記事 「庄内浜の観天望気」 で紹介した 『ズバリ! 天気予報』(テレビ朝日、1982) という本には、「地震の発生時刻で天気を占う簡単な公式」という節があります。以下に引用します:
不思議なことに地震の発生時刻は天気を教えてくれると言われています。地震の起きた月、日、時間を旧暦に直し、次の計算式に当てはめるのです。

<月 + 日 + 発生時間> ÷ 4

時間については、たとえば 6時 20分なら 6 として計算します。その結果割りきれれば、晴れというわけです。

どこの場所のいつの天気が占えるのか定かではありません ―― 震源地なのか揺れを感じた場所なのか。地震発生時の天気なのか、半日後や翌日の天気なのか。

上記の本には計算式の根拠が示されておらず、「的中率は定かではありませんが」との断り書きがあります。

ためしに、今朝 6時 3分に苫小牧沖で発生し、最大震度 4 を記録したマグニチュード 4.9 の地震で計算してみます。今日は 旧暦 5月 17日なので、
(5 + 17 + 6) ÷ 4 = 7 余り 0
割りきれたので 「晴れ」 という結果です。

気象庁の天気予報では、震源に近い胆振・日高地方の今日は 「晴れ 夜 くもり」、明日は 「くもり 所により 夜 雨」、最大震度 4 を記録した渡島・檜山地方の今日は 「晴れ 夜 くもり」、明日は 「くもり 夜 雨」 となっています。

市街地にエゾシカ ― 根室市

北海道根室市の市街地にエゾシカが迷い込みました:

新聞記事は事件の起きた日時を明記するのが原則ですが、上記記事には 「先日」 としか書かれていません。6月 27日付の記事で 「先日」 ということですから、エゾシカが迷い込んだのは先週の半ばあたりということでしょうか。

記事には 「ヒグマをはじめ野生動物の市街地進入が続く」 とも書かれています。


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2010年6月26日土曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 12)


その後の地震数の推移です。目立った増加はありません。
  • 6月16日 03:57:03 深さ 1.0 km M0.4 (カルデラ縁)
  • 6月17日 17:41:15 深さ 2.5 km M0.1 (山麓)
  • 6月18日 01:57:07 深さ 1.0 km M2.0 (山麓)
  • 6月19日 12:30:24 深さ 8.4 km M0.4 (山麓)
  • 6月19日 14:37:40 深さ 0.1 km M1.5 (山腹)
  • 6月19日 20:44:33 深さ 14.6 km M1.0 (山腹)
  • 6月20日 14:29:05 深さ 9.8 km M1.0 (カルデラ縁)
  • 6月21日 05:31:26 深さ 0.1 km M0.4 (山麓)
  • 6月21日 12:19:27 深さ 1.0 km M0.2 (カルデラ内)
  • 6月21日 14:17:47 深さ 0.1 km M1.0 (山麓)
  • 6月22日 02:28:51 深さ 0.1 km M0.6 (山腹)
  • 6月22日 12:46:53 深さ 0.1 km M0.8 (山腹)
  • 6月23日 01:57:03 深さ 1.1 km M0.1 (山麓)
  • 6月23日 03:00:53 深さ 3.6 km M0.7 (山腹)
  • 6月24日 02:33:50 深さ 5.8 km M0.4 (カルデラ縁)

カトラ山の北にあるトルファヨークトル(Torfajökull)には、カトラ山を上まわる規模のカルデラがあります。その周辺ではこれまで全く地震が発生していませんでしたが、6月 22日にそのカルデラ内で 3件、25日にその山麓で 2件の地震が発生しました。


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百日咳が大流行 ― カリフォルニア州

米国カリフォルニア州で百日咳が大流行。昨年同期の 4倍の患者が発生しており、過去 50年間で最悪のペース。すでに 5人の乳児が死亡しています:

ウィキペディアの記述によれば、「死亡率は 1 - 2%、死亡数は約20 - 40万人とされている。約 90% は発展途上国の小児」、「世界的に成人の感染者数が増加している」 とのことです。

カリフォルニア州は日本との間で人の往来が多いので、いずれ日本にも影響がおよぶかも知れません。


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朝鮮戦争から 60年

今から 60年前の 1950年 6月 25日、北朝鮮が軍事境界線を越えて侵攻し、朝鮮戦争が勃発しました。

このブログで何度も紹介している 『ボストン・グローブ』 紙の “The Big Picture” が、当時の写真を集めた特集をしています:

北朝鮮側には中国の人民義勇軍、韓国側にはアメリカ軍が加わって闘われた戦争というイメージがあります。しかし、韓国側を支援したのは国連派遣軍であって、アメリカ以外の軍隊も戦闘に参加しています。上記写真集でも、イギリス兵・オーストラリア兵(26番の写真)、カナダ兵(34番)、イギリス海兵隊(37番)、トルコ兵(39番)などの姿が映像に残されています。

45番目の写真は休戦協定調印のようすです。閑散とした広い部屋の中に、大きく距離をとって置かれたテーブル。季節は夏のはずなのに、なんだか寒々とした雰囲気があります。

写真の中には、正視にたえないものも含まれています。北朝鮮軍の勢いに押されて後退を余儀なくされた韓国軍が、前線近くの刑務所に収容していた約 1800人の政治犯を即決処刑(12番)、アメリカ軍に追われて撤退する北朝鮮軍が約 400人の韓国市民を殺害(19番)、北朝鮮側が坑道の中で 60人以上の韓国市民を撲殺(25番)などなど。

北朝鮮憎しの感情のゆえか、再度の朝鮮戦争勃発を心待ちにするような記述をブログなどで見かけます。北朝鮮とアメリカ・韓国の間でなんらかの応酬があるたびに、生半可な軍事知識を持ち出してはしゃいでいるようで、実に嫌なものです。

自分が実際に戦地に赴いたり、住んでいるところが戦場になったりして、自分や家族の体が銃弾を浴びるようなことは絶対にないと高をくくっているから、そのようなことが書けるのかも知れません。戦争がおこればたくさんの人が死ぬことがわかっていないか、理屈ではわかっていても実感を伴っていないのでしょう。これも一種の平和ボケではないでしょうか。

クマの目撃相次ぐ ― 福島県

6月 24日、福島県内の各地 ―― 猪苗代町、会津美里町、郡山市、福島市 ―― でクマの目撃が相次ぎました:

会津美里町では 3頭(親グマ 1、子グマ 2)、その他の場所では各 1頭が目撃されました。

コイヘルペス発生 ― 山形県、千葉県

宮崎県の口蹄疫がいまだに収まらないなか、山形県の鶴岡市と千葉県の館山市と長南町でコイヘルペスが発生し、コイが殺処分されています:

口蹄疫とはちがって、コイヘルペスは発病した場合の致死率が 100% とのことです。


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2010年6月24日木曜日

硫黄島から噴煙

以下は Tokyo VAAC (Volcanic Ash Advisory Center)の 6月 19日付発表資料です:

上記によると、6月 19日午後、硫黄島(地図)の噴煙が同島の北 20海里(約 37km)まで漂っているのが航空機から観測されたとのことです。

気象庁が 6月 18日に発表した 「平成22年 No.25 週間火山概況 (平成22年6月11日 ~ 平成22年6月17日)」では、硫黄島について以下のように書かれています:
国土地理院の観測によると、2006 年8月以降みられている島全体の隆起を示す地殻変動は、2009年10月頃から一時停滞していたが、2010年5月以降再び隆起の傾向がみられる。島内南北方向の伸びの傾向は継続している。

火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生すると予想されるので、これまで小規模な噴火が発生した島東部の海岸付近、島西部(井戸ヶ浜等)及び南東沖では噴火に対する警戒が必要である。

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2010年6月23日水曜日

庄内浜の観天望気

酒田海上保安部と海上保安協会山形県支部が、庄内浜(山形県)の観天望気について地元のベテラン漁師などに聞いた結果をまとめた小冊子を作ったそうです:

以下は、新聞記事に引用されている「観天望気」の例です:
  • 鳥海山の東側に雲がなくなり、南西に雲がかかれば(しけへの)油断はできない (由良)
  • 温海岳に雲がかかると、北風が吹く (鼠ケ関)
  • フナムシがはい上がるとしけになる (飛島)

観天望気による天気予報には私も昔から興味を持っています。いま座右に置いている書籍には以下のようなものがあります:
  • 「観天望気入門」 藤井幸雄 (青春出版)
  • 「ズバリ! 天気予報」 (テレビ朝日)
  • 「天気予知ことわざ辞典」 大後美保 (東京堂出版)

観天望気による天気予報では、前兆とされる現象とその結果としての天候の変化の関係を科学的に説明することが可能なものがかなりあり、宏観異常による地震予知に比べて全般的に信頼度が 高いと言えます。

上記の書籍に掲載されている伝承やことわざなどから、地震前兆と紛らわしいものや地震予知系の掲示板によく報告される「異常」に関わるものをいくつか紹介します:
  • 天気が崩れる前にウナギは暴れる
  • ヘビが木に登ったら大雨
  • 雨が近づくと天然ガスの出がよくなる
  • 大涌谷の煙がたくさんでたら天気は下り坂
  • 日でり続きにミミズがでると日でりは続く
  • カラスが夜鳴きすると翌日はくもりがち
  • 北西-南東の帯雲は雨、南西-北東の帯雲は天気悪化なし(ともに確率 83%)
  • 月色きわめて赤きは干天の兆し

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UFO? 核実験?

先週末、イギリス北部・スコットランドのクリエフ(Crieff in Perthshire、地図)で撮影されたレンズ状高積雲(altocumulus lenticularis)です:

撮影した夫婦は映画『未知との遭遇』のようだと表現していますが、私は『インディペンデンス・デイ』の方を思い出しました。

以下の記事には 2枚の写真が掲載されています:

1枚目の写真は、上の記事と同じ空飛ぶ円盤状の雲を写したものです。

2枚目は、ギリシャのミコノス島で撮影されたものです(撮影日時不詳)。まるで核実験で生じたキノコ雲のように見えます。これは、積乱雲(cumulonimbus incus)の頂上部が対流圏と成層圏の境界面に達して水平方向に広がったもので、「かなとこ雲」とも呼ばれます。


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2010年6月22日火曜日

フィジーで 6月 23日に大地震?

南太平洋の島国フィジー(地図)で、6月 23日(水曜日)に大地震(あるいは何らかの大災害)がおきるとの予言が広まっています:

上記 『ラジオ・フィジー』 の記事によると、政府機関の地震専門家が打ち消しに躍起になり、首相が予言を広める者に対して警告を発する事態になっているようです。

記事には、予言の出所が書かれていません。日本のテレビ局から声のかからなくなった J氏かも知れません。

海底地形を地図で見ると、フィジーは渦を巻くように分布する海溝や海嶺に囲まれた場所にあることがわかります。


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2010年6月21日月曜日

ゴアリー山が噴火 ― カムチャツカ半島 (続報)

KVERT (Kamchatkan Volcanic Eruption Response Team ) の 6月 17日付資料によると、ゴアリー山では 6月 6日と 12日から 13日にかけて、火山性ガスと水蒸気の強い噴出があったとのことです:

上記資料には、6月 15日から同山の温度異常領域のサイズがやや拡大し、温度もやや上昇。さらに地震活動も活発な状態が続いているとも書かれています。


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爺爺岳で温度異常 ― 国後島 (続報)

『知床旅情』で 「遥か国後(くなしり)に白夜は明ける」 と歌われた国後島、その北部にある爺爺岳(ちゃちゃだけ、Tyatya あるいは Tiatia、地図)の温度異常が継続しています。SVERT(Sakhalin Volcanic Eruption Response Team サハリン火山噴火対応チーム)の 6月 21日付資料によると、6月 19日の人工衛星のデータでも爺爺岳の温度異常が確認されたとのことです:
According to satellite data at the volcano Tyatya (Kunashir Is.) June 19, a thermal anomaly was registered.

過去の爺爺岳の噴火では、噴煙や橙色と青白い光が根室から見えたり、爆発音が羅臼(らうす)や標津(しべつ)で聞えたりしています。


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駿河湾地震が東海地震震源域に影響

防災科学技術研究所が 6月18日付で発表した資料によると、昨年 8月 11日に発生した駿河湾の地震(Mj6.5)が、東海地震の震源域に影響を与えていたとのことです:

要点は以下のとおりです:
  1. 駿河湾の地震によって、東海地震の震源域でプレートが強く固着している領域(アスペリティ)にかかる力が、想定東海地震ですべる方向に増加した。
  2. 想定東海地震発生時にすべる方向の力が増加していた領域では、駿河湾の地震後にプレート間地震の数が急激に増加し、時間と共に徐々に減少した。

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2010年6月18日金曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 11)


カトラ山での地震数は 6月 11日から 12日にかけてピークに達しましたが、その後は減っています。12日は新月でした。
  • 6月11日 00:08:39 深さ 0.1 km M0.1 (山麓)
  • 6月11日 05:25:30 深さ 1.0 km M1.2 (カルデラ内)
  • 6月11日 07:03:05 深さ 0.1 km M0.8 (カルデラ内)
  • 6月11日 07:03:05 深さ 4.7 km M1.0 (山腹)
  • 6月11日 07:03:20 深さ 0.2 km M1.7 (カルデラ内)
  • 6月11日 07:13:45 深さ 1.1 km M1.1 (カルデラ内)
  • 6月11日 14:04:41 深さ 0.1 km M1.5 (カルデラ内)
  • 6月11日 15:05:27 深さ 1.1 km M1.6 (カルデラ内)
  • 6月11日 15:36:45 深さ 9.1 km M0.8 (山麓)
  • 6月12日 00:32:46 深さ 3.4 km M1.9 (カルデラ内)
  • 6月12日 00:52:36 深さ 16.9 km M0.8 (山腹)
  • 6月12日 09:35:09 深さ 0.0 km M1.5 (カルデラ内)
  • 6月12日 18:30:38 深さ 1.8 km M0.6 (カルデラ内)
  • 6月12日 20:34:00 深さ 15.2 km M0.7 (山腹)
  • 6月13日 03:35:54 深さ 4.9 km M1.7 (カルデラ内)
  • 6月13日 15:54:35 深さ 0.1 km M1.2 (カルデラ内)
  • 6月14日 08:45:29 深さ 1.0 km M0.4 (カルデラ内)
  • 6月14日 18:04:20 深さ 22.9 km M1.2 (カルデラ縁)
  • 6月16日 03:57:03 深さ 1.0 km M0.4 (カルデラ縁)

以下は、アイスランド気象局とアイスランド大学が共同で出している状況報告の最新版です:

上記からカトラ山に関係する部分を抜粋・テキトー訳します:
6月 11日から 14日にかけて、Mýrdalsjökull カルデラ内で 13の小さな地震が発生したが、ほとんどは浅い震源であった。

Mýrdalsjökull 氷河の下でおきている地震活動は、同地域が膨張していることを示しているとは考えられない。同氷河上とその周辺に配置した GPS では、垂直方向の顕著な地殻変動は観測されていない。しかし、カルデラの北東の縁に設置された GPS では、6月 9日から 13日にかけて、南西方向(カルデラの中心方向)に約 3cm の移動が観測された。

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2010年6月17日木曜日

科学は勝つ

著名な宇宙物理学者で宇宙の起源について深い洞察をおこない、また車いすの科学者としても知られるスティーブン・ホーキング博士の刺激的な発言が、話題になっています:

博士がテレビのインタビューに答えたときの発言で、6月 7日に放映されました。以下に博士の発言を抜粋します:
There is a fundamental difference between religion, which is based on authority, (and) science, which is based on observation and reason.

宗教と科学の間には根本的な違いがある。宗教は権威(権力)に立脚している。科学は観察と理性にもとづいている。

Science will win because it works.

科学は(宗教に)勝つ。なぜなら(科学は)つじつまが合うからだ(宗教はつじつまが合わない)。

What could define God (is thinking of God) as the embodiment of the laws of nature. However, this is not what most people would think of that God.

神を定義できるとすれば、それは自然の法則の化身(具象化)としてである。しかし、それは多くの人びとが考える神ではない。

They made a human-like being with whom one can have a personal relationship. When you look at the vast size of the universe and how insignificant an accidental human life is in it, that seems most impossible.

人びとは、人間に似ていて、個人が関係を結ぶことができる存在を(神として)作り上げた。広大無辺な宇宙のサイズと、その中に偶然に生まれた人の命の小ささを考えれば、そのような存在が実在することはまったく不可能だ。

当然ですが、宗教界からは批判や反論が出ています:

記事には、博士が自分の子供たちに与えた言葉も載っています。これもなかなか含蓄があります:
  1. 足元を見るのではなく星を見上げること。
  2. 絶対に仕事をあきらめないこと。仕事は目的と意義を与えてくれる。それが無くなると人生は空っぽだ。
  3. もし幸運にも愛を見つけることができたら、それはまれなことであることを忘れず、捨ててはいけない。

人類全体の平均的な教育レベルが上がれば、宗教の影響力はそれに応じて低下すると私は思います。最終的には、少なくとも啓示宗教(3大宗教の中ではキリスト教とイスラム教)は存続できなくなると思っています。

2004年に発生したスマトラ島沖地震とそれに付随するインド洋大津波では、20万人を超える死者・行方不明者が出ました。その中には敬虔なキリスト教徒やイスラム教徒が多数含まれていました。なぜそのような人たちまで犠牲になるのか、キリスト教やイスラム教では説得力のある答えを出せていません。

この大地震・大津波以降、それまで半ばタブー視されていた無神論についての報道が増えてきたように思います。また、無神論に関心を示す人の増加にともなって、無神論の側からの働きかけや情報発信も広がっています。

昨年初め頃には、『利己的な遺伝子』『神は妄想である-宗教との決別』などの著作で有名なイギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンス博士が主催する団体が、各国のバスの側面に、広告として次のようなスローガンを掲げて物議を醸しました:
There’s probably no God. Now stop worrying and enjoy your life.

多分、神は存在しない。さあ、(存在しないものに)気をつかうのはやめにして、人生を楽しもう。

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煙霧と濃霧 ― 沖縄、北海道

13日、沖縄県那覇市で煙霧が観測されました:

一方、北海道の西胆振地方(室蘭や登別など)では、濃霧が多発しています:

霧と煙霧の区別については、以下に説明があります:

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南アフリカで地震 3回

6月 13日から 14日にかけて、南アフリカ共和国の金鉱山地帯で地震が 3回(M2.9、M3.6、M4.3)おきました:

地震学者によれば、M4.3(震央地図)の地震は金鉱山地帯で発生する地震の規模としてはかなり大きいものとのことです。同鉱山地帯は南アフリカの中心都市ヨハネスバーグに近く、同市内でも揺れを感じたと報道されています。

南アフリカ共和国の地震報道ではしばしば以下のような記述が見られます:
Currently its not known what caused this ie, mining or if it was the techtonic plates that moved.

現時点では、地震の原因が鉱山であるのか、テクトニック・プレートの移動であるのかわかっていない。

同国の鉱山地帯では、現役の坑道や廃坑が地下深くまで網の目のように張り巡らされているため、地下の力のバランスが崩れて発生する地震がかなりあるためです。

なお、14日に M5.0 の地震が発生したとの報道もありますが、こちらは今のところ Council for Geoscience (地球科学審議会; 地質調査所に相当)のリストには掲載されていません:

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2010年6月16日水曜日

スウェーデン北部で地震

日本時間 6月 16日午前 5時30分(現地時間 15日午後 10時 30分)、スウェーデンのボスニア湾奥部(震央地図)で M4.1 の地震がありました:

記事によれば、この地域で地震がおきるのは “unusual” であり、今回の震源付近で前回地震がおきたのは 2001年(マグニチュード不詳)。その前は 1993年で M3.9 だったそうです。

被害は出ていませんが、揺れはフィンランドでも感じられたとのことです。

震源の深さは EMSC(European-Mediterranean Seismological Centre)の発表で 20km、USGS(U.S. Geological Survey)の資料では 10km となっています。

地図を見るとわかりますが、震央の緯度はほぼアイスランドと同じです。


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2010年6月15日火曜日

ゴアリー山が噴火 ― カムチャツカ半島

ロシアの英字ニュースサイト 『The Voice of Russia』(ロシアの声)が 6月 12日付で掲載した非常に短い記事によると、カムチャツカ半島南部のゴアリー(Gorely)火山(地図)が噴火したとのことです:

記事には噴火した日付は書かれていませんが、噴煙が数百キロメートルにわたってたなびき、定期航空路に影響を与え、地元の地熱発電所の操業を脅かしていると伝えています。

Smithsonian Institution National Museum of Natural History のデータベースによれば、ゴアリー山は海抜 1829 m。5つの成層火山が重なり合った複合体で、9 × 13.5 km の大きなカルデラがあります。最後に噴火したのは 1986年とのことですから、24年ぶりの噴火です。

なお、記事に掲載されている写真はゴアリー山ではないと思われます。


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2010年6月13日日曜日

「はやぶさ」の地球帰還

今夜、満身創痍の小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰ってきます。7年間・60億キロの難行苦行を乗り越えてついに故郷に帰ってきます。帰ってくるといっても、「はやぶさ」本体は大気圏内で燃え尽き、小惑星で採取した塵が入っている(かも知れない)カプセルだけが地表に届くという、なんだか悲しい帰還です。

満身創痍になりながら、けなげに使命を遂行する「はやぶさ」に感情移入してしまう人が多いのも頷けます。私もそうです。漫画家の里中満智子さんが描いた応援イラストで「はやぶさ」がつぶやくセリフ ―― 「ぼく がんばったよ」「もうすぐ かえるからね」 ―― には思わず目頭が熱くなってしまいます。

「はやぶさ」のカプセルは、過去最速級の秒速 12 キロ(マッハ 35)というスピードで大気圏に突入します。その点にアメリカも関心を寄せ(注)、日本を支援するという名目で現地に装備や人員を派遣してデータを収集します:

私は、カプセルの回収に失敗するのではないかと危惧しています。予定を 3年も超える 7年間も宇宙の厳しい環境に曝されてきた「はやぶさ」には、さまざまな不具合が潜在しているはずです。そのため、耐熱シールドの問題でカプセルが燃え尽きる、燃え尽きないまでも内部まで高熱に曝される、パラシュートの展開に失敗、地上に落下したカプセルが捜索用ビーコンを発信せず、結局カプセルを回収できない等々、悪い事態がつぎつぎに頭をよぎります。これまでさまざまな障害をなんとかしのいできた「はやぶさ」が、最後の最後で運に見放されることも十分にありうると思います。

もしすべてがうまく行ってカプセルが回収されたら、相模原市にある JAXA の施設に運ばれ、内部に入っているかも知れない小惑星の物質の分析がおこなわれます。私の住んでいるところに近いので、少し不安です。マイケル・クライトンの小説「アンドロメダ病原体」のようなことがおきないとも限らないので。


(注) アメリカの DARPA (Defense Advanced Research Projects Agency 国防総省国防高等研究事業局)が 4月 22日に打ち上げた Falcon HTV-2 (Hypersonic Test Vehicle 極超音速試験飛翔体)は失敗に終わりましたが、その最高速度はマッハ 20 前後です。


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カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 10)

Image Credit: Icelandic Meteorological Office

カトラ山で地震が多発しています。上の図は、日本時間 6月 13日午前 0時 00分現在の震源分布です。過去 48時間分の震源が図示されています。これほど多くの震源マークがカトラ山につくのは初めてです。地震は、現地時間の 6月 11日だけで 9件に達しました。

一方、エイヤフィヤトラヨークトル氷河(氷冠)の噴火は沈静化し、火口に水が溜まっているとのことです。
  • 6月11日 00:08:39 深さ 0.1 km M0.1 (山麓)
  • 6月11日 05:25:30 深さ 1.0 km M1.2 (カルデラ内)
  • 6月11日 07:03:05 深さ 0.1 km M0.8 (カルデラ内)
  • 6月11日 07:03:05 深さ 4.7 km M1.0 (山腹)
  • 6月11日 07:03:20 深さ 0.2 km M1.7 (カルデラ内)
  • 6月11日 07:13:45 深さ 1.1 km M1.1 (カルデラ内)
  • 6月11日 14:04:41 深さ 0.1 km M1.5 (カルデラ内)
  • 6月11日 15:05:27 深さ 1.1 km M1.6 (カルデラ内)
  • 6月11日 15:36:45 深さ 9.1 km M0.8 (山麓)
  • 6月12日 00:32:46 深さ 3.4 km M1.9 (カルデラ内)
  • 6月12日 00:52:36 深さ 16.9 km M0.8 (山腹)
  • 6月12日 09:35:09 深さ 0.0 km M1.5 (カルデラ内)

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2010年6月12日土曜日

カリフォルニアに大地震警報!?

2010年 9月にカリフォルニアに M9 クラスの大地震が発生するので準備をするよう軍人口調で警告する動画を、カナダ人の青年(少年?)が YouTube に投稿し、話題になっています。すでに 25万ビューを超えるアクセスを獲得しています:

「警告」の内容は ―― 2010年 9月にカリフォルニアで M9 以上の大地震が発生する。カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州などアメリカ西海岸一帯と、カナダのバンクーバーではすべてが破壊される。被害は、アリゾナ州、ネバダ州、モンタナ州、ユタ州、アイダホ州などの内陸部にもおよぶ ―― というものです。

この青年がどのようなきっかけ、あるいは根拠によってカリフォルニアが大地震に襲われると考えるに至ったのかはわかりません。

さまざまなニュースサイトやブログがこの動画を取り上げているのですが、画面に登場している青年には発達障害あるいは知的障害があるのではないかとの指摘が少なからず見受けられます。

知的障害のある人の中には、サヴァン症候群と呼ばれる症状を示す人がおり、常人には及びもつかない能力を発揮することがあります。サヴァン症候群の中に、予言や予知分野で特異な才能を示した事例は私がざっと調べた限りでは見つかりませんが、この青年が地震について特別な能力をもっており、この動画の警告がひょっとしたら現実になるのではと思わせる状況が今のカリフォルニア周辺にはあります。

当然のことながら、この青年の警告については、USGS の地震学者が否定しています:

2010年6月11日金曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 9)

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カトラ山周辺の地震動向です。6月 2日付「続報 8」以降、新たに 11件の地震が発生しました(以下のリストでは色を変えてあります)。

上のグラフは、4月 29日に初めてカトラ山で地震が記録されて以降の地震数の推移を示したものです。

どの範囲までをカトラ山の山体と見なすかによって、集計結果に差が出ます。以下のリストで「カルデラ内」「カルデラ直近」「山腹」と書いてある地震についてはあまり異論はないと思いますが、「山麓」としたものには議論の余地があると思います。上掲のグラフにはこれらすべてを含めています:
  • 4月29日 00:28:31 深さ 0.8 km M1.5
  • 4月29日 00:28:31 深さ 7.1 km M1.0
  • 4月29日 22:05:46 深さ 5.9 km M1.7
  • 5月17日 08:32:19 深さ 9.5 km M-0.2(?)
  • 5月20日 21:15:57 深さ 4.7 km M1.0
  • 5月21日 10:14:15 深さ 1.0 km M1.0
  • 5月21日 10:31:42 深さ 13.7 km M0.4
  • 5月21日 13:39:45 深さ 4.8 km M0.8
  • 5月23日 01:06:48 深さ 0.1 km M0.8
  • 5月23日 11:12:48 深さ 1.0 km M0.3
  • 5月24日 06:09:30 深さ 0.7 km M1.2
  • 5月25日 03:36:51 深さ 4.8 km M0.8
  • 5月26日 08:43:21 深さ 2.8 km M0.7
  • 5月27日 19:50:07 深さ 0.1 km M1.3 (カルデラ内)
  • 5月28日 11:29:48 深さ 8.0 km M0.9 (山麓)
  • 5月28日 14:25:38 深さ 1.1 km M1.0 (山麓)
  • 5月29日 05:31:55 深さ 1.1 km M1.3 (カルデラ内)
  • 5月31日 00:17:26 深さ 1.0 km M1.3 (山麓)
  • 6月02日 02:58:35 深さ 6.8 km M0.1 (山麓)
  • 6月02日 04:10:27 深さ 1.0 km M0.5 (カルデラ内)
  • 6月02日 10:48:40 深さ 1.0 km M0.4 (山麓)
  • 6月02日 12:56:54 深さ 7.2 km M0.7 (山腹)
  • 6月06日 13:16:10 深さ 3.8 km M1.1 (カルデラ内)
  • 6月06日 13:30:10 深さ 11.6 km M0.9 (カルデラ内)
  • 6月07日 00:17:40 深さ 9.9 km M1.4 (カルデラ内)
  • 6月08日 05:52:53 深さ 0.1 km M0.4 (山腹)
  • 6月08日 13:04:47 深さ 4.1 km M0.1 (山腹)
  • 6月11日 07:03:05 深さ 4.7 km M1.0 (山腹)
  • 6月11日 07:03:20 深さ 1.1 km M1.8 (カルデラ内)
  • 6月11日 07:13:45 深さ 1.1 km M0.3 (カルデラ直近)

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2010年6月10日木曜日

爺爺岳で温度異常 ― 国後島

SVERT(Sakhalin Volcanic Eruption Response Team サハリン火山噴火対応チーム)の 6月 7日付資料によると、人工衛星からの観測で、国後島北部にある爺爺岳(Tyatya あるいは Tiatia、地図)に温度異常が見つかったとのことです:
According to satellite data at the volcano Tyatya (Kunashir Is.) May 31, a thermal anomaly was registered.

Analysis of satellite data once daily (TERRA MODIS, NOAA, MTSAT, GEOS -9) is our primary tool for monitoring of all volcanoes of the Kurile Islands. Visual observations are used for the volcanoes of Kunashir and Iturup Islands. Surface instrumental observations are absent; there are no seismic networks on any of these Kurile volcanoes and our ability to detect the onset of volcanic unrest is limited

温度異常が見つかったのは 5月 31日。爺爺岳には地震計などの観測装置が設置されておらず、人工衛星か目視による観測が頼りとのことです。

爺爺岳は標高 1822m。日本の北方領土内における最高峰で、羅臼町から遠望することが出来るそうです。気象庁の資料によれば、いちばん最近の噴火は 1981年 6月のことです。

2010年6月9日水曜日

タール山の噴火警戒レベル引き上げ ― フィリピン

6月 8日、フィリピンの首都・マニラの南 65km にあるタール山(地図)の噴火警戒レベルが 「2」(ALARMING) に引き上げられました:

タール山は、2005年 11月 23日以来警戒レベル「1」の状態が続いていました。今年 4月 26日から火山性の地震が増加し始め、5月 11日には火口湖の水温が 32°C から 34°C に上昇。6月 2日には低周波の火山性地震が観測され初め、過去 24時間には 高い周波数の火山性地震が 32回観測されました。中央火口の北側と北東側に噴気が見られ、周辺に噴出音が響いているとのことです。

周波数の高い火山性地震は、マグマの貫入によって山体内で岩石が破砕される際に発生すると考えられています。

地図で確認できるように、タール山の中央火口は大きなカルデラ湖の中にある島の頂上部にあります。火口そのものも火口湖として水をたたえています。Phivolcs(Philippine Institute of Volcanology and Seismology、フィリピン火山学・地震学研究所)の所長は次のように語っています:
タール山の問題は、(火口湖やカルデラ湖の)水だ。高温のマグマと水が接触すれば爆発がおきる。水の存在が爆発的な噴火を引きおこす。

噴火が差し迫っていることを示す兆候は、カルデラ湖内にある中央火口の島が隆起し、島の喫水線が低下していることだ。われわれはこの現象を視覚的に確認している。

タール山が最後に噴火したのは 1977年 10月 3日です。記録に残るもっとも激しい噴火は 1965年 9月 28日から 30日にかけてのもので、少なくとも 200人の死者が出ています。また、1911年の噴火では「津波」が発生し、約 2000人の死者が出ました。


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2010年6月8日火曜日

パカヤ火山の噴火 ― グアテマラ

5月 28日付 「中米で火山噴火 2件」 で既報ですが、中米・グアテマラのパカヤ火山は、5月 27日に激しい噴火を始めました。この噴火の近況をとらえた写真を、イギリスの 『Mail』 紙のサイトが掲載しています:

記事は、死者 2人(うち 1人はテレビのレポーターで火山弾の直撃を受けた)と 60人の負傷者を出し、周辺住民 2000人が避難しているにも関わらず、危険な火山のそばに近寄って噴火の様子を見物する人たちがいる、と批判的なニュアンスで伝えています。

1枚目の写真: 右下の円内に 5~6人の見物人が写っています。この大きさと比べると、噴火のスケールがよくわかります。こんなにそばまで近寄って …… この人たちは「パカヤ」。遠くから望遠系のレンズを使って撮影したとすれば、実際より距離感が圧縮されるので、この人たちは写真から受ける印象ほどには溶岩流に近寄っていない可能性があります。

3枚目の写真: 傘を差しているのは雨が降っているからではなく、火山灰を避けるためとのことです。


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南アフリカで地震 2回

6月7日、南アフリカ共和国で地震が 2回あり、金鉱山の作業員が坑内に閉じこめられました:

記事によると、現場はゴールド・フィールズ社(Gold Fields Ltd.)が所有するドリーフォンテイン(Driefontein)鉱山。1回目の地震で 3人、2回目の地震で 4人の作業員が坑内に閉じこめられましたが、いずれも救出され病院に搬送されたとのことです。

ドリーフォンテインの位置は、ゴールド・フィールズ社の資料によれば、主要都市ヨハネスバーグの西約 70km。

上記記事は、鉱山労働者の組合側が発表した情報をもとに書かれています。現時点でゴールド・フィールズ社のウェブ・サイトには、この件に関する情報は見あたりません。

南アフリカの鉱山ではしばしば地震が発生しています。自然の地震以外に、地下に張り巡らされた坑道によって地中の圧力のバランスが崩れたために発生する地震もかなりあるようです。


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2010年6月7日月曜日

連続噴火 10000日 ― ハワイ・キラウエア山 (その 2)

ハワイ諸島の地下にあるホットスポットはこれまで不動と考えられ、ハワイ諸島とハワイ海嶺、さらにその先に伸びる天皇海山列や明治海山列は、ホットスポットの上をプレートが移動したことを示す軌跡だと見なされてきました。

たとえば、NHK 教育テレビで放送されている『高校講座地学』のテキストには次のように書かれています:
北太平洋の海底地形図を見ると、ハワイ諸島からカムチャツカ半島まで海底火山が連なる海山列があります。

この海山列は、プレートの移動でできたものです。

マントルで発生したマグマが上昇してくる場所をホットスポットといいます。ホットスポットではマグマが地殻を突き抜けるため、そこに火山ができます。しかし、プレートは動いているので、火山は移動することになります。こうして海山列ができます。

大昔、現在のハワイ島付近でホットスポットからマグマが上昇してきて、火山島ができました。プレートは動くので、その上にある火山島はどんどん西へと動きます。しかし、プレートの下にあるホットスポットは動かないので、そこにはまた新しい火山島ができます。これを繰り返して、現在のハワイ諸島はできました。

ハワイ諸島からカムチャツカ半島に向かう、天皇海山列や明治海山列も、ハワイのホットスポットからできたものです。

上記の説明は現時点でも概略は正しいのですが、ホットスポットも移動していることが最近の研究で明らかになっています:

誤解を避けるために付記しますが、これでプレートの移動が否定されたわけではありません。プレートの移動は、超長基線電波干渉法(VLBI: Very Long Baseline Interferometry)などによって厳密に確認されています。

上記の記事から引用します:
ホットスポットが動くという発見は人々を驚かせたが、これで即、これまでの研究がすべて台無しになったわけではない。ホットスポットが動くメカニズムを解明し、ホットスポットも移動しうるという前提に立ってこれまでの研究を見直すときが来たのだ。

ハワイ諸島とハワイ海嶺が西北西に伸びているのに対して、それに連なる天皇海山列は北北西に伸びています。ハワイ海嶺と天皇海山列の接続部分には明瞭な屈曲があります(海底地図)。この屈曲の原因について、従来は太平洋プレートの移動方向が変化したため、と説明されてきました。しかし、それも怪しくなっています:

上記記事から抜粋・テキトー訳します:
古地磁気の測定によって、ハワイ海嶺-天皇海山列間の屈曲は太平洋プレートの相対的運動が変化した結果ではないことが示された。それどころか、ホットスポットが完全に停止する前、8000万年前から 4000万年前までの間、急速に南に向かって漂流していたらしいことが明らかになった。ハワイのホットスポットの軌跡にこの漂流の効果を加味するならば、太平洋プレートは過去 8000万年間以上の期間にわたっておおむね一定の運動をしていたことになる。ハワイ海嶺-天皇海山列間の屈曲は、ホットスポットの漂流が減速し始めたときに生じたものである。

(完)


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連続噴火 10000日 ― ハワイ・キラウエア山 (その 1)

ハワイ島にあるキラウエア山(地図)の連続噴火日数が 5月 21日で 10000日となりました。現在も記録更新中です:

キラウエア山は、1983年 1月 3日に東側の地溝帯にあるプウ・オオ火口が噴火し始めて以来、山頂のハレマウマウ火口の噴火も含めて、連続 27年をこえる長きにわたって噴火活動を続けています。ハワイ火山国立公園(Hawaii Volcanoes National Park)の最高責任者 Cindy Orlando 氏の言によれば、世界で最も長い連続噴火(the longest continuous eruption in the world today)だそうです。

キラウエア山でこれほど長い期間噴火が続くのは、ハワイ諸島の地下にあるホットスポットが豊富なマグマを供給し続けているからに他なりません。現時点で、キラウエア山はハワイ諸島の中で最も活動的な火山ですが、太平洋プレートの移動にともなって、火山活動の中心はハワイ島の南東沖にあるロイヒ海底火山に移りつつあると考えられています。


(続く)


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2010年6月6日日曜日

光の渦巻き 再び出現 ― 今度はオーストラリア

昨年 12月にノルウェー上空に現れ、世界中を驚かせた 「光の渦巻き」 と類似の現象が、6月 5日早朝、オーストラリア東部一帯で目撃されました:

現時点では、アメリカの民間企業が打ち上げた “ファルコン 9” と呼ばれるロケットが原因だという見方が有力です。

昨年のノルウェー上空の件については、以下の記事を参照してください:

2010年6月5日土曜日

クリーブランド山の警戒レベル上昇 (続報 2)

先月末に小規模な噴火をしたクリーブランド山(地図)の姿を、NASA の Terra 衛星が撮影しました:

6月 1日に撮影されたものです。小規模な噴煙が上がっています。火口から南南西の方向に降灰の跡、東から南東にかけて噴出物が流れた跡が見られます。

疑似カラー画像ですので、実際の色とは異なります。雪は白ですが、雲はピンク、植生は赤、水は黒となっています。

写真をクリック(あるいはここ)すると、トリミングする前の広範囲が写ったすばらしい画像に切り替わります。

広範囲の画像には、雲海から頭を出した 3つの火山が写っています。雲海の雲がそれらの火山に遮られ、迂回するように南に流れ出しています。3つの火山のうち、最も北にある火山の南側には、カルマン渦の列らしきものが形成されています。

カルマン渦については以下を参照してください:

日本付近では、冬の季節風が強い時期に、済州島の風下側にできるカルマン渦の列を気象衛星の画像で見ることができます。


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浄土平天文台 夜間閉館 ― 吾妻山

山形・福島県境にある吾妻山はやや活発な状態が続いていますが、その近くにある浄土平天文台(地図)の夜間閉館が決まりました:

理由は、火山ガスが天文台付近に流れた場合に十分な救助体制が取れない可能性があるため、とのことです。


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2010年6月4日金曜日

アユ大量遡上 ― 石川県加賀市

石川県加賀市を流れる動橋川(地図)に大量のアユが遡上しています:

「動橋川での遡上はここ十年ぐらいなかったのでは。こんな大量に上るのは見たことがない」、「県内のほかの川でアユの遡上が多いとは聞いていない。なぜ動橋川だけ多いのか」と不思議がられているとのことです。


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ミツバチ 20万匹 突然死 ― 岐阜県関市

6月 3日朝、岐阜県関市(地図)で、大量のニホンミツバチが巣箱付近で死んでいるのが見つかりました:

「伝染病などではじわじわと死んでいくので、今回のように一気に死ぬことは考えられない」とのことです。農薬による被害の可能性が考えられますが、関市内の 10か所に設けた 50の巣箱のうち、4か所の 20箱余で同じ現象が見られたという点が説明困難です。

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Bezymianny 火山が爆発的噴火 ― カムチャツカ半島 (続報)

KVERT(カムチャツカ火山噴火対応チーム)が、日本時間の今朝発表した資料によると、Bezymianny 火山の爆発的噴火は終息したとのことです:

同山の Aviation Color Code は 下から 2番目の “YELLOW” に下げられています。ただし、山頂の溶岩ドームから火山ガスと水蒸気の強い噴出が続いており、低高度を飛行する航空機に影響が出る恐れがあるとも書かれています。


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地震予知失敗で検察が捜査 ― イタリア

昨年 4月 6日に発生したイタリアのラクイラ地震(M6.3)で 300人以上の死者が出たことについて、「大地震の兆候がない」と発表していた国の委員会のメンバーを対象に、イタリアの検察当局が過失致死容疑で捜査を始めたとのことです:

何で今頃になって? こんなことをしたら国の委員会に協力する地震専門家はいなくなってしまうのでは?


【2010年6月5日追記】
もう少し詳しい情報を、朝日新聞が掲載しました:
【追記終わり】


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2010年6月3日木曜日

ボイジャー 2号が異常データ送信 (続報)

5月17日付「ボイジャー 2号が異常データ送信」の続報です。ボイジャー 2号は正常な観測データを送ってくるようになりました。搭載しているコンピューターのメモリー内で「データ化け」が発生していたためでした:

上記 NASA の発表資料にもとづいて、復旧作業を時系列で書き出してみます。ボイジャー 2号に搭載されているコンピューターには、探査機の状態を送ってくるエンジニアリング・モードと、観測データを送ってくるサイエンス・データ・モードがあります:

  • 4月 22日: ボイジャー 2号が送ってくる観測データが、地上で解読できないパターンになる。
  • 5月 06日: ボイジャー 2号にエンジニアリング・モードに入るよう指令
  • 5月 12日: 搭載コンピューターの全メモリー・データ(メモリーダンプ)を受信
  • 5月 17日: メモリー内の 1ビットが反転していることが判明 (“0” であるべきところが “1” になっていた)
  • 5月 19日: ボイジャー 2号にリセット指令を送信
  • 5月 20日: 反転していたビットが正しい値に復帰していることを確認、ビットの反転が再発しないか監視継続
  • 5月 22日: サイエンス・データ・モードに復帰する指令を送信
  • 5月 23日: 正常な観測データを受信開始

現在までのところ、障害は再発していないようです。

例によってトンデモ屋さんたちは、ボイジャー 2号がエーリアンに乗っ取られた云々といった根拠のない憶測を喧伝していましたが、今回も現実は彼らの期待どおりにはならなかったようです。

33年前に打ち上げられた探査機ですので、搭載されているコンピューターもそれなりの年代物です。メモリーも相当老朽化していると思うのですが、復旧して良かった良かった。

ボイジャー 2号は 138億キロ彼方を飛行中です。地球からコマンド(指令)を送って、それに対するボイジャー 2号からのレスポンス(応答)が 返ってくるまでに 25時間以上かかります。

今回のエラーの原因究明と修復は、コンピューター史上最も遠いところでおこなわれたデバッギングではないでしょうか。


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マリアナ諸島で海底火山噴火 (続報)

週末に、マリアナ諸島(火山地図)のサリガン島(Sarigan)とアナタハン島(Anatahan)の間の海底でおきた火山噴火ですが、すぐに沈静化しました:

噴火がおきたのはサリガン島の南 11km、海面下約 300m の海底で、これまで海底火山の存在が知られていなかった場所です。大きな噴煙を噴き上げた後は、周辺で観測されていた地震活動も急速に収まりました。30日におこなわれた航空機からの観測では、広い範囲に広がった浮遊物や、噴火地点直上の海面に変色域が見られましたが、現時点では噴火の兆候はないとのことです。

なお、噴煙が上がった直後には、サリガン島で 0.5m 弱の波が観測されていたそうです。

今回の噴火が、継続的な噴火(continuous eruption)となるのか、一過性の活動(one time event)で終わるのか注目されていましたが、専門家は “one time event” であるとの考えに傾いているようです。伊豆半島の東で 1989年に噴火した手石海丘のような「一発屋」で終わるのかも知れません。


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2010年6月2日水曜日

カトラ山で地震 ― アイスランド (続報 8)

カトラ山周辺の地震動向です。5月26日の「続報 7」以降、カルデラ内で 2つ、山麓で 4つの地震が発生しています:
  • 4月29日 00:28:31 深さ 0.8 km M1.5
  • 4月29日 00:28:31 深さ 7.1 km M1.0
  • 4月29日 22:05:46 深さ 5.9 km M1.7
  • 5月17日 08:32:19 深さ 9.5 km M-0.2(?)
  • 5月20日 21:15:57 深さ 4.7 km M1.0
  • 5月21日 10:14:15 深さ 1.0 km M1.0
  • 5月21日 10:31:42 深さ 13.7 km M0.4
  • 5月21日 13:39:45 深さ 4.8 km M0.8
  • 5月23日 01:06:48 深さ 0.1 km M0.8
  • 5月23日 11:12:48 深さ 1.0 km M0.3
  • 5月24日 06:09:30 深さ 0.7 km M1.2
  • 5月25日 03:36:51 深さ 4.8 km M0.8
  • 5月26日 08:43:21 深さ 2.8 km M0.7
  • 5月27日 19:50:07 深さ 0.1 km M1.3 (カルデラ内)
  • 5月28日 11:29:48 深さ 8.0 km M0.9 (山麓)
  • 5月28日 14:25:38 深さ 1.1 km M1.0 (山麓)
  • 5月29日 05:31:55 深さ 1.1 km M1.3 (カルデラ内)
  • 5月31日 00:17:26 深さ 1.0 km M1.3 (山麓)
  • 6月02日 02:58:35 深さ 6.8 km M0.1 (山麓)

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ミニスカート気象学

インターネット通信販売の大手 eBay で購入されるスカートの丈は、気候が暖かくなる数日前に短くなり、逆に寒波がやってくる数日前には長くなるので、その購入動向から数日後の気候が予測できるそうです:

以下は 『Gigazine』 からの引用です:
一般的に女性の方が男性に比べ「何を着ようか」という観点から翌日の天気や週間天気予報をチェックしている人が多いように思えますが、予報が発表される前にスカートの売れ行きに変化が見られるとのことなので、暑くなるのを見越して計画的にミニスカートを購入しているのではなく、何か本能的に季節の変化を感じ取り「ミニスカートが履きたい気分」になる女性もいるのかもしれません。

eBay に限らず通信販売やコンビニなどの業界は、販売動向の膨大なデータを蓄積しているはずですから、大地震の前の動向に何か特有の変化が現れていないか、調べてもらいたいものです。たとえば、地震の前には傘の購入が増える(人の注意力が散漫になって傘の忘れ物が増える)、ペットフードの購入が減る(ペットの食欲が落ちる)、香典を包む袋が品薄になる(死亡する人が増える)、特定の地域の販売量に大きな増減がある、等々。意外な発見があるかも知れません。

クリーブランド山の警戒レベル上昇 (続報)

AVO(アラスカ火山観測所)の発表によると、現地時間 5月 30日の夜、小規模な火山灰の噴出があったとのことです:

衛星画像によると、噴煙の高さは約 5000m で南西に流れており、山腹上部には降灰のあとが確認されました。

この情報は、以下のように一般のメディアも報道しています:

ところが、その中にとんでもない誤解を交えて伝えているものがあります。以下はその例です:

火山灰の噴出があった火山を “A volcano in Cleveland, Ohio”(オハイオ州クリーブランド(地図)にある火山)と伝えています。実際はアラスカ州に属するアリューシャン列島にあるクリーブランド火山(地図)なのですが。


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2010年6月1日火曜日

Bezymianny 火山が爆発的噴火 ― カムチャツカ半島

米露共同で運営されている KVERT (Kamchatkan Volcanic Eruption Response Team カムチャツカ火山噴火対応チーム) の発表などによると、日本時間 5月 31日 21:34 から 21:50 にかけて、カムチャツカ半島にある Bezymianny 火山(地図)が強い爆発的噴火をおこしたとのことです:

噴煙の高さは 10km に達しました。現在、オホーツク海からカムチャツカ半島にかけての上空 127km × 93km の範囲に巨大な噴煙のかたまりが漂っており、定期航空路に影響がでる恐れがあるとのことです。Aviation Color Code は最高レベルの “RED” となっています。


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クジラ 2頭座礁 ― 鹿児島県薩摩川内市

5月 30日、鹿児島県薩摩川内市(地図)の砂浜に親子とみられるクジラ 2頭が打ち上げられました:

住民らの支援で、最終的には 2頭とも海に帰ったとのことです。


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大気中の二酸化硫黄で地震予知

『Voice of Russia』(ロシアの声)というニュースサイトが掲載している非常に短い記事です:

記事には次のように書かれています:
台湾の科学者のグループが、空気の成分を調べることによって地震を予知することが可能だ、ということを見いだした。この科学者のグループは、地震の前と地震の最中の空気の組成の変化を分析することによって、地震が発生する数時間前に二酸化硫黄(亜硫酸ガス)の濃度が上昇することを発見した。これまでのところ、このような現象がなぜおこるのかはわかっていない。

自治体によっては、二酸化硫黄の濃度をウェブで発表しているところがあります。たとえば、東京都については以下のページで速報値を知ることができます:

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中国の「地震雲」?

四川省の省都・成都市の住民が 5月 27日に撮影した「地震雲」:

ごく普通の日暈ですが、地震に対する不安が高まっていると「地震雲」になってしまうようです。さらにこの日暈のそばに別の雲があり、これを含めて地震の前兆ではないかと考えた Zhang という女性が新聞社のホットラインに電話。それを受けた新聞記者が四川省気象局の気象専門家に問い合わせ。専門家の答えは ――
日暈は普通の現象で、「地震雲」という考えには科学的根拠が全くありません。もし「地震雲」のようなものが実在するのなら、私たちがそれを使って地震を予知していますよ。「地震雲」は “old wives' tale”(くだらない迷信、愚かな迷信、ばかげた話、たわいのない言い伝え)にすぎず、気象専門家の間ではそのようなものは存在しません。(以下省略)
―― でした。


以下には、2008年 5月 12日の四川省大地震の前に撮影された「地震雲」の写真が多数あります:

1番目の写真と 2番目の動画は、大地震の直後から YouTube などで公開され非常に有名になったものです。

3番目以降は大地震の数日前(2008年 5月 9日)に山東省で撮影された「地震雲」です。この雲を見て、マグニチュード 6以上の大地震がおきると予想した人がいたが、発生場所はわからなかったとのことです。ちなみに、山東省と四川省は約 1400km 離れています(省都間の距離)。


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