立命館大学・歴史都市防災研究所の高橋学教授の説を紹介した記事をもう1本紹介します。
2月5日に桜島が爆発的噴火、同じく5日に神奈川県東部で最大震度4の地震、6日には台湾南部の地震(M6.4)など、フィリピン海プレートの活発化を示唆するような現象が続いています。「原因はフィリピン海プレートがユーラシアプレートを押す圧力が高まっているから。九州から中国地方・大山(鳥取)まで噴火が広がる可能性があり、台湾地震は他人事ではありません」:
鳥取県の大山(地図)は火山ですが、気象庁はノーマークです。Wikipediaによれば「最後の噴火は約1万年前とされ、有史以後の噴火記録は残されていないが、奥野充・井上剛両氏の研究では3000年前に小噴火をした可能性が指摘されている」とのことです:
- 管内月間火山概況(平成28年1月) (PDF形式)
上の雑誌記事で高橋学教授は台湾南部の地震の原因について「海側のフィリピン海プレートが大陸側のユーラシアプレートにもぐり込もうとして、耐え切れなくなったユーラシアプレートが跳ねました」と述べていますが、これは逆ではないかと思います。台湾の地下では、ユーラシアプレートの方が海洋プレートであるフィリピン海プレートの下に沈み込んでおり、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界は東に行くほど深くなっています。これは、「ユーラシアプレートは日本付近を含む大部分で、厚く比重の小さい大陸プレートであるが、南シナ海では薄く比重の大きい海洋プレートに変質している」(Wikipedia)からとされています。
少し視野を広げて見ると、台湾の南に位置するフィリピンの東方海上にはフィリピン海溝があり、フィリピン海プレートが西に向かって沈み込んでいます。一方、フィリピンの西方海上にはマニラ海溝が南北に走っており、ここでは南シナ海の岩盤が東に向かってフィリピンの下に沈み込んでいます。このマニラ海溝の北への延長上に台湾があり、そこではマニラ海溝の沈み込み帯が陸上に出ています。そして、マニラ海溝と同じように台湾の陸上でもユーラシア側の岩盤が沈み込み、フィリピン海プレートがユーラシア側の岩盤の上に乗り上げる形になっています。
1999年に台湾中部で発生した集集大地震(Mw7.6)も今回の台湾南部の地震とおおよそ同じメカニズムで発生したとみられています。以下の資料の2ページ目に台湾付近のプレート境界を示した地図があります:
- 台湾集集地震はなぜ、どのようにしておきたのか (PDF形式)
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