3月6日の午前3時ごろ(日本時間)を中心とした時間帯に、小惑星〝2013 TX68〟が地球に接近します。この小惑星は2013年10月に発見されたものですが、十分な観測がおこなわれる前に行方不明になってしまったため軌道が不確定で、この小惑星が現在どこにいるのかNASAでも把握できていないようです。わかっている範囲の情報から推定されている接近距離は、地球から最も遠いところを通過する場合は1400万km、最も近づく場合は1万7000kmで、気象衛星「ひまわり」などの静止衛星の軌道よりも近いところを通過することになります。
以下はNASAが発表している情報ですが、NASAが最接近の1ヶ月も前にこのような情報を開示することはあまり多くありません。メディアや便乗した陰謀論者が騒ぎ始める前に機先を制した形です:
NASAではこの小惑星が今回の接近で地球に衝突する可能性はないが、次回の接近(2017年9月28日)ではごく低い確率(2億5000万分の1)ながら衝突の可能性があるとしています。
NASAではこの小惑星の直径を30m程度と推定しています。3年前にロシアのチェリャビンスクに落下し大きな被害を出した隕石(小惑星)の直径をNASAでは20mと見積もっていて、もし今回の〝2013 TX68〟が地球の大気圏に突入した場合には、チェリャビンスクの約2倍のエア・バースト(空中炸裂)が発生するであろうと予想しています。
以下はNASAのJPL(ジェット推進研究所)が公開しているデータベースに記載されている現時点の接近予報をまとめたものです。上記のNASAの発表内容とは数字が異なっています。予報時刻には2時間を上まわる不確実さが含まれています。接近距離は上から順番に最も近づく予想、最も可能性の高い中庸の予想、最も遠い予想です:
小惑星 | 推定直径 (m) |
接近日時 (日本時間) |
接近距離 (LD) |
---|---|---|---|
2013 TX68 | 23~52 | 3月6日 03:15を中心とした時間帯 | 0.061 1.30 37.21 |
(1LD=地球から月までの平均距離)
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