1707年(宝永4年)、東海道沖から南海道沖を震源域として発生した宝永地震は、わが国最大級の地震で被害は五畿・七道に及びました。そして、この地震の49日後に富士山が宝永大噴火とよばれる爆発的噴火を起こしました。
駿河トラフから南海トラフにかけての領域で発生する巨大地震として、宝永地震の次のサイクルとされるのが1854年(安政元年)に32時間間隔で発生した安政東海地震と安政南海地震です。この時、富士山は噴火しなかったとされています。しかし、地元の人が書き残した古文書には、富士山に何らかの異変が生じていたことをうかがわせる現象が記録されています。
以下は、『富士山の噴火 ― 万葉集から現代まで』(つじ よしのぶ、築地書館、1992)に記載されている現象です:
- 地震発生当日の朝(地震との前後関係は不詳)、真っ黒な笠が富士山にかかっていた。
- 同日、富士山を見ると、牛ほどの大きさで羽の生えたものが数多く舞い歩いていた。
- 同日、富士山の8合目に多数の火が見えた。
- 地震から17日後、宝永山から真っ黒な煙が立ちのぼった。
- 地震から50日後ごろ(現代の暦では2月中旬に相当)、富士山の雪が春(現代の暦では4月ごろに相当)のように融けていた。「山気陽精籠もり居る哉と人々怪しむ風説多し。」
著者のつじよしのぶ氏は、<富士山は安政東海地震のあと、「噴火しそうになって、(なぜか)やめた」のではないだろうか>と記しています。
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