2013年2月27日水曜日

2014年、彗星衝突か? (その1)


2014年10月20日午前6時(日本時間)、人類は〝C/2013 A1〟という彗星が引きおこす壮大な天体ショーを目撃することになるかも知れません:

この彗星はオーストラリアの有名な彗星ハンター、ロバート・マックノート氏が今年1月3日に発見したものです。

NASAが提供している〝JPL Small-Body Database Browser〟でこの彗星の予報を調べてみましょう。〝Close-Approach Data〟(天体への接近予報のデータ; 表示されていない場合は、ページの一番下の行にある [show close-approach data] をクリックすると現れます)には、この記事を書いている時点で1行だけデータが記載されています。抜き書きすると以下のとおりです:

Date/Time (TDB) 2014-Oct-19 21:00
Time Uncertainty (days_HH:MM) 04:20
Body Mars
Nominal Distance (AU) 0.000702579321135921
Minimum Distance (AU) 0
Maximum Distance (AU) 0.00794058074967568
V-relative (km/s) 55.9596231934152
V-infinity (km/s) 55.9523409752931


彗星の軌道計算にはさまざまな不確定要素がつきまといます。そのため、最接近時の対象天体(火星)との距離は幅を持たせて3とおり表示されています。〝Nominal Distance〟は現時点で最も可能性の高い距離、〝Minimum Distance〟は最も対象天体寄りのコースを通った場合の距離、〝Maximum Distance〟は最も対象天体から離れたコースを通った場合の距離です。〝C/2013 A1〟は発見されてから2ヵ月弱しか経っていないので彗星の位置の観測データに限りがあり、発見以前に撮影された写真に写っていた同彗星の位置情報を加えても、予測の幅が広くなってしまいます。

〝Minimum Distance〟が「0」になっていることに注目してください。これは、想定される彗星の軌道のうち、最も火星寄りのコースを通った場合には衝突するということを意味しています。私は、新しい小惑星や彗星が発見されたり、接近すると報じられたりするといつも上記のデータベースを参照するのですが、接近距離として「0」が表示されているのは初めて見ました。


(続く)