火星の衛星フォボスの表面物質を採取して地球に持ち帰る計画だったロシアの探査機フォボス・グルント。11月9日に打ち上げられたものの、火星に向かう軌道に投入するためのロケット・エンジンが点火せず、地球を周回する軌道にとどまったままの状態になっています。一時的に地上との交信が回復したものの、再び通信途絶の状態に陥り、徐々に周回軌道の高度が下がってきています。
ESA(European Space Agency、欧州宇宙機関)の担当者が先週語ったところによると、フォボス・グルントの大気圏突入は、1月14日~15日を中心とする前後5日の間になりそうだとのことです。つまり、早ければ来週早々にも落下する可能性があるということです:
全重量約14トンのフォボス・グルントが大気圏に突入した場合、有毒の燃料を含むほとんどの物質は大気圏内で燃え尽きるとみられていますが、20~30個の破片、合計約200kgが燃え尽きずに地表に到達すると予想されています。フォボス-グルントには、科学調査に使うための少量の放射性物質コバルト-57も搭載されています。正確な落下地点は大気圏突入の直前になるまでわかりませんが、日本も落下の可能性がある範囲に含まれています。
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