2010年7月16日金曜日

エイヤフィヤトラヨークトルの現状

会議と会議の間に中途半端に時間が空いたので 『異常現象に気付いたらお知らせください。』(www.progoo.com/rental/normal_bbs/bbs.php?pid=11087) というちょっと怪しい掲示板を見ていたら、次のような投稿が目にとまりました。アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル氷河での噴火について書いています:
No.113794 カトラ火山の隣の 投稿者:あんり 投稿日:2010/07 /13(Tue) 18:18

エイヤフィアトラヨークトル火山で7/12、噴火があったそうです。

http://www.ruv.is/flokkar/hamfarir/eldgos-i-eyjafjallajokli

本当でしょうか?

リンク先のページには、7月12日づけの記事が 2つ載っていますが、どちらもエイヤフィヤトラヨークトルで噴火があったとは書いていません。記事はアイスランド語で書かれているので英訳すると 「Research could take many years」 (研究には何年もかかる)と 「Water flows from Gígjökli」 (Gígjökli から水が流出)というタイトルです。

前者には噴煙が上がっている写真が付いていますが、過去に噴火したときのものです。写真に 「12.07.2010 19:38」 というキャプションが付き、ビデオカメラの絵文字が付いているので、12日に噴火がおきたと誤解したのかも知れません。この日付と時刻は、記事が最初に公開されたときを示すものです。

ビデオカメラのマークをクリックすると、研究者が火口周辺で調査を進めている様子が映し出されます。動画の内容は記事と一致しています。

後者の記事は、高温の水が溜まった池(湖)がクレーターの北にできているが、その水がどこからか流出しているため水位が低下しているという内容です。

この 「あんり」 というハンドル・ネームの投稿者がアイスランド語の記事をどこまで理解して「噴火があったそうです」と書いたのかはわかりませんが、察するに文章を読まずに写真だけに条件反射したというところではないでしょうか。

悪意はないのでしょうが、デマとか流言飛語というものはこのようなきっかけで始まる場合があるのかも知れません。大地震や火山噴火などの災害時に配布する情報は、誤解を生まないよう十分に文章を吟味する必要がありますが、文字情報をよく読まずに早合点する人もいるでしょうから、使用する写真やイラストにも気を配る必要があると思います。

他のニュースソースをあたっても、エイヤフィヤトラヨークトルで 7月12日に噴火があったという情報は見あたりません。もちろん、報道されるレベルに達しない小規模の水蒸気噴出ぐらいはあったかも知れませんが。

アイスランド気象局は、エイヤフィヤトラヨークトル氷河での噴火が沈静化したため、噴火についての定期的な情報更新を 6月23日を最後に打ち切っています。状況に大きな変化が起きたときには再開するとのことです:
Status reports from the Icelandic Meteorological Office and the Institute of Earth Sciences will no more be sent on regular basis, but only if something notable is observed.

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