2017年3月20日月曜日

土星の衛星パンは変だ (続報)


3月11日付「土星の衛星パンは変だ」の続報です。

パンがなぜ変な形をしているのか、NASAの科学者が解説しています:

掲載されている写真は、左がパンの北半球を2万4583kmの距離から、右がパンの南半球を3万7335kmの距離から撮影したものです。撮影日は3月7日で、どちらもパンの trailing side (公転移動の後方側)が写っています。

パンが現在の形になった過程は次のように説明されています:
  • パンは土星のリングの中で形成された。

  • リングの構成物質(氷が主成分)が次々に降着し、パンの球形の中心部分が形成された。

  • パンの形成当時、土星のリングの外縁部は非常に若く、垂直方向に厚みがあった。

  • このような形成過程から、パンには密度の高い氷のコア(核)があり、それを柔らかい(氷の)マントルが包んでいると推定される。

  • パンの赤道部分を取りまく細い盛り上がり(尾根)は、パンの球形部分が形成され、パンの軌道上のリング物質が一掃されてエンケの空隙ができた後に形成されたと考えられる。

  • この時点で土星のリングの垂直方向の厚さは今日と同程度に薄くなっていたが、リングの構成物質は依然としてパンに降り注いでいた。

  • 最終段階では(リングの厚味が非常に薄くなっていたので)、リングの構成物質はパンの赤道とその周辺にだけ降り積もるようになった。

  • こうして、リングの構成物質が幅の狭い尾根を赤道上に形成した。

  • 大きな天体では、この尾根は(その天体の大きさに比べて)それほど高くなることはなかったであろう。なぜなら、重力が尾根を平坦にする方向に働くから。

  • パンの重力は非常に弱いため、リングの構成物質は単純にパンの表面に堆積し尾根を形成することになった。

  • 他の力学的な力が、尾根が無限に成長することを抑制した。

関連記事