私がよく見るクリス・ローワン博士(Dr. Chris Rowan、オハイオ州ケント州立大学准教授)のブログから、1月1日付の記事です:
- An unremarkable year – seismically, anyway. (何だかんだ言っても地震的には平凡な年だった)
以下は主要部分のまとめです:
- 2016年、地球上でM5以上の地震が1666回発生した。(図1参照)
- M7以上M8未満 16回(約1%)
- M6以上M7未満 129回(約8%)
- M5以上M6未満 1521回
- M8以上の地震は発生しなかった。最大は12月17日にパプアニューギニアで発生したM7.9。
- 20世紀半ば以降に観測計器によって記録された1年あたりの地震の平均発生回数は
- M7以上M8未満 おおよそ 13回
- M6以上M7未満 おおよそ 130回
- M5以上M6未満 おおよそ 1500回
- 2016年の地震発生回数は、「M5以上M6未満」と「M6以上M7未満」については長期間の平均と一致したが、「M7以上M8未満」は平均をやや上まわった。(図2参照)
- M8以上の地震は発生しなかったが、これは特に珍しいことではない。なぜならこの規模の地震は、1950年以降の1年あたりの平均発生回数が1を下回っているからである。より短い期間で見ると、M8以上の地震が発生しなかったのは2008年以降では初めてで、2000年以降では3回目である。
- 過去6年間は、大きな地震が比較的多かったために、より規模の小さい地震の発生頻度も平均を上まわった。これは、大きな地震が発生することによって、それより規模の小さな余震が多数発生するからである。(図3参照)
- 2017年についてはどうだろうか。一般的な予測をすることは非常に簡単である。M5以上M6未満がおおよそ1500回、M6以上M7未満がおおよそ130回から150回、M7以上M8未満がおおよそ13回から15回発生することだろう。そして、ことによるとM8かM9の大地震が1回か2回起こるかも知れない。
上記記事の2016年の地震発生回数はUSGS(米国地質調査所)のデータベースにもとづいているようですが、1月4日の時点で同データベースを検索すると「M5以上M6未満」の発生回数は 1523 となっています。察するに、ローワン博士は1月1日付のブログ記事を執筆するにあたって少し早め(12月31日?)にデータベースを検索したのではないでしょうか。博士が検索した後、新年になるまでにM5クラスの地震が2つ発生したと考えられます。
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