オーストラリアのクイーンズランド大学で1927年に始められたピッチドロップ実験は、研究者の世代を超えて引き継がれ「世界最長の実験」と言われています。まもなく9滴目が落下するとみられています。一滴落ちるのに8年から9年、最近は12年以上かかっています:
- 世界最長の実験「ピッチドロップ」、まもなく決定的瞬間か (写真あり)
ピッチドロップ実験のライブ映像を下記クイーンズランド大学のサイトで見ることができます。もしかしたら、決定的瞬間を目撃できるかも知れません。「現在に至るまでしずくが落下するのを目撃した者はいない」(Wikipedia)のだそうです。左手前に置いてある時計の秒針が動いているのでライブ映像だとわかりますが、ピッチは微動だにしていないように見えます。クイーンズランドとは時差が1時間しかないので、日本の昼間に見ると、ときどき人影が見えることがあります:
上掲記事の写真にあるように、実験に使われているピッチは室温では固体で、ハンマーで叩くと割れてしまいます。しかし、長い時間スケールでは液体のように振るまい、滴となってロートから落下します。固体であるマントルが、長い時間スケールでは液体のように対流するのによく似ています。
日本でも研究者の世代を超えて続けられている実験があります。京都大学で1954年に始められ、これまで半世紀以上、4代の教授によって継承されてきた「ショウジョウバエの暗黒飼育」実験です。暗黒の環境で世代交代を繰り返したショウジョウバエには、すでに感覚毛が普通より長くなる、求愛行動が極端に短くなるなどの変化が生じ、遺伝子にも多くの変異が蓄積されているとのことです:
実験ではありませんが、成蹊中学・高校で1963年から続けられている観測です:
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