5月7日付「ブラジル沖に「大陸」の痕跡 (続報)」の続報です。
大陸の痕跡(花崗岩の崖)が見つかったとされるリオ・グランデ海膨(Rio Grande Rise、地図)の成因には、2つの説があるようです。以下は、今回、実際に「しんかい6500」で同海膨に潜り、花崗岩の崖を発見した北里洋氏の解説です:
1つ目の説は、大陸のかけら説。「中生代に南アメリカとアフリカが割れて大西洋を作りながら拡大した時のパンゲア大陸のかけらである」とするもので、テレビ番組に登場する専門家は、私が視聴した範囲では、皆この説に立って解説していました。
もう一つの説はホットスポット説。「ホットスポットで作られた島は、大西洋の拡大に伴って移動し、アフリカ側にはウォルビス海嶺(地図)が作られてゆきます。大西洋中央海嶺を挟んで南アメリカ側の対象的(sic、「対称的」?)な位置にリオグランデ海膨がありますので、この海膨もホットスポットでできた」とするもので、「実際、海洋地殻の特徴を示す玄武岩が採れています」とのこと。
上掲の記事は、北里氏がリオ・グランデ海膨に潜航する前に海洋研究開発機構のサイトに掲載されたものですが、北里氏は「もしも花崗岩がリオグランデ海膨に由来することになると、リオグランデ海膨は、中生代に南アメリカとアフリカが割れて大西洋を作りながら拡大した時のパンゲア大陸のかけらであるということになります」と書いています。今回の発見で大陸のかけら説の信憑性が高くなったということでしょうか。
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