2009年2月17日火曜日

人災地震

人間の活動が地震を引き起こしてしまった事例集を、『ナショナル・ジオグラフィック』誌のサイトが掲載しています:
記事は全部で 5ページあります。以下はその要旨です:

ダム建設 ― 中国・四川大地震
4年前に建設された Zipingpu ダム。その水量の変動が、地震発生の触媒となった可能性がある。同ダムは、断層から約 500メートルのところに建設され、水の荷重によって地中の応力分布を変化させた。地震発生を加速し、さらに規模を大きくする要因になったと疑われる。
石油/天然ガスの採掘 ― ウズベキスタン
ウズベキスタンでは、1976年から1984年にかけて M6.8 以上の地震が 3回おきている。同国の Gazli 天然ガス田でのガス採掘が原因と見られている。1976年以前には Gazli 地域ではほとんど地震が発生していなかったが、急に大きな地震が 3回続けて発生した。天然ガスの採掘によって、地中の流体の圧力が変化したことが原因。

天然ガス田ではこのような圧力の変化が、ガスを取り出すことによる圧力低下以外に、ガスの生産量を増やすために地中に水やガスを注入することによってもおきる(この場合は圧力上昇)。
石炭の採掘 ― ニューカッスル地震
オーストラリア史上もっとも大きな被害が出たニューカッスル地震(1989年、M5.6)は、200年間にわたって続いていた石炭採掘が原因。炭坑から大量の水をくみ出したことによって断層が不安定になった。石炭 1トン当たり 4.3トンの水が排出されていた。
地熱発電 ― バーゼルの群発地震
60回以上の群発地震(最大規模 M3.4)がスイス・バーゼル市周辺で発生。2007年1月、その原因が地熱発電所であることが判明して住民の怒りが爆発。地熱発電が地震の原因となるメカニズムは 2つ。第1は、高温の蒸気を発生させるために、地下の高温岩体の周囲に水を注入すること。これによって、断層周囲の応力が高まる。第2は、高温の水を汲み上げることによって、断層の潤滑が低下、歪みがたまりやすくなる。