夕方の南西の空に宵の明星・金星が非常に明るく輝いています。日没時の地平線からの高度は約40度もあります。今後さらに明るさを増して、2月20日1時に最大光度(-4.6等)に達します。現在でもそれに近い明るさがあり、位置を知っていれば、日中でも金星を見ることができます(ただし、太陽を直接見ないように注意が必要です)。また、月の出ていない夜、金星が最大光度かそれに近い明るさで輝いているときには、金星からの光だけで人や木立の影が壁や地面にできるそうです。
以下は、日中に撮影された三日月状の金星と三日月です。言うまでもないと思いますが、小さくくっきりと写っている方が金星、その右側に非常に淡く、しかし大きく写っているのが月です。なお、金星の満ち欠けは双眼鏡でも見ることができます:
金星は、2月20日に最大の明るさになった後、徐々に明るさを減らしながら地球に近づいてきます。3月下旬に地球に最も近づきますが、そのときの地球との距離は約4200万 km、月までの距離の約110倍です。その後は再び明るさを増して、5月2日に最大光度(-4.5等)に達しますが、このころには、夜明け前の東の空に明けの明星として輝いています。
地球に最も近づいたときに最大の明るさにならないのは、金星が内惑星(軌道が地球の軌道よりも内側にある惑星)であるからです。内惑星の金星が地球に最も接近するのは、太陽―金星―地球の順番に並んだときです。このとき地球から見えるのは、金星の太陽に面していない側、つまり夜の側ですので、距離が近くても明るさはそれほどではないわけです。
金星はよく UFO と誤認されます。とくに最近のように、最大光度に達する前後の時期にはその傾向があります。薄い雲が金星の周辺にかかっているような場合には、雲の動きによって相対的に金星の方が動いているように見え、ますます誤認の可能性が高まります。また、日没から時間が経過して、金星が西の地平線に近づくと、大気のゆらぎの影響を大きく受けるようになり、金星が脈動しているかのように見える場合もあります。ネット上の掲示板にも、すでに金星を誤認したと考えられる投稿が現れていますので、注意しましょう。