11月13日金曜日に正体不明の物体〝WT1190F〟が地球に落下します。この物体は10月初めに発見されてものですが、ふつうのスペース・ジャンク(宇宙ゴミ)のように低軌道で地球を周回するのではなく、非常に細長い楕円軌道を描いており、遠地点は月の軌道の外側、地球-月間の距離の2倍ほどのところにあります:
- Incoming space junk a scientific opportunity
- Mysterious Chunk Of Space Trash Is On A Collision Course With Earth
落下時刻と場所は ― 11月13日06:20UTC(日本時間同日午後3時20分)、スリ・ランカの南端から約65kmの洋上 ― と予報されています。
小惑星などの天体や人工物体の落下(地球との衝突)が事前に精確に予報されるのは極めてまれで、欧州宇宙機関(ESA)などが観測準備を進めています。何らかの物体が地球大気圏に突入するのを、偶然にではなく待ち構えて観測できる希有の機会であると同時に、地球に衝突する可能性のある危険な天体が見つかった場合に備える天文学者間の連携計画を実地に試すことができると考えられているからです。
この物体の大きさは 1~2m で密度は低く、中空ではないかと推定されています。人工の物体であるとみられていますが、その由来はわかっていません。アポロ計画時代の遺物の可能性もあるとのことです。
公式名称である〝WT1190F〟の数字を省略した〝WTF〟がこの物体の略称として使われているようです。これは〝What the f*ck〟(なんてこった!)の略語でもあり、前例のない謎めいた物体にふさわしいと話題になっています。ただし、紳士淑女や良い子が使ってはいけない単語が含まれているため、上記〝Nature〟誌の記事は〝an unprintable expression of bafflement〟とぼかした表現に止めています。
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