2009年4月にイタリア中部・ラクイラで発生した被害地震(M6.3、死者300人超)に関連して、地震の前に「大きな地震は起きない」と受け止められる発言をし被害を拡大させたとして、防災当局者1人と地震の専門家6人が過失致死の容疑で起訴されていた裁判で、10月22日、有罪判決が出ました。求刑の禁錮4年を上まわる禁錮6年という厳しい内容です。有罪とされた専門家の中には、イタリアで最も著名で国際的にも敬意を払われている地震学者や地質学者が含まれています。日本でいえば、東大地震研究所のトップや地震予知連絡会の会長が過失致死罪で有罪判決を受けたようなものでしょうか:
防災当局者の有罪はともかく、科学者6人も有罪とされたことには各方面から懸念や批判が出ています。「科学的な見解を伝えて刑事責任を問われれば、自由に考えを述べられなくなる」、「科学者や行政担当者が地震のリスクを伝えて起訴されると政府に対する助言や提言ができなくなるおそれがある」:
英国BBCの記事にも、科学者の懸念が書かれています:
科学的な知見にもとづいた発言で刑事責任を問われるとなると、地震に限らずその他の自然災害についても、専門家が情報発信を手控える傾向が出てくるのではないでしょうか。
(続く)
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