日の出前の東の空で、明けの明星・金星としし座の1等星レグルスがならんで輝いています。金星はマイナス4.1等級、レグルスは1.3等級です:
10月3日午後5時00分、金星がレグルスに0度7分まで接近します。残念ながら、日本ではこの時刻には金星とレグルスはまだ地平線の下にあり観測できません。もし、観測できたとしたら、金星の光芒の中にレグルスが埋もれて、肉眼ではあたかも1つの星のように見えるのではないか、といわれています。
レグルス (Regulus) はラテン語で「小さな王」を意味していますが、この星は同じくラテン語でコル・レオニス(Cor Leonis、「獅子の心臓」)とも呼ばれます。一方の金星は、古代マヤ族から「王の心臓」と見なされていました。以下は『星の神話傳説集成』(野尻抱影、恒星社、1975)からの引用です:
中央アメリカに第一世紀から十五世紀ごろまで栄えたマヤ族は、金星暦を用いていたが、この暦を発明したのは、古代メキシコのナファ族の王クェツァルコアトルと伝えられ、また金星はその化身といわれている。
クェツァルコアトルは、敵アズテック族の侵入を防ぎきれなくなると、薪を山のように積み上げ、臣下たちの止めるのも聞かず、その上に横たわり火をつけさせたが、猛火の中から、「自分は一たびは姿を消しても、また天に現れて星となる」といった。
やがて王は灰になったが、心ぞうだけは火の中に燃え残っていた。そして、たちまち空へとび上がって、こうこうと輝く星となった。それが金星であるという。この王の神像は、全身まっ白で、ひげが生えている。これは金星の色と光を表すものらしい。
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