2012年10月10日水曜日

民間ロケットで「あわや!」の爆発


日本時間10月8日、米国民間企業「スペースX」社が打ち上げた無人宇宙船「ドラゴン」は予定の軌道に乗り、10日には国際宇宙ステーションとドッキングして補給物資を届けることになっています:

日本のほとんどの報道は「成功」としか伝えていませんが、実は、打ち上げに使われた「ファルコン9」ロケットの1段目に大きなトラブルが起きていました。「ファルコン9」の1段目はロケットエンジン9本を束ねて使っている(写真)のですが、このうちの1本が上昇中に「爆発」を起こしていたのです。以下のスローモーション動画をご覧ください。開始から29秒目で「爆発」が起き、大きな破片が落下しています:

以下は「スペースX」社の発表です:

発表の主要部分をテキトー訳します:
昨夜の打ち上げ開始からおよそ1分19秒後、「ファルコン9」ロケットは1段目のエンジンのうちの1基で異常を検知しました。初期のデータによると、ロケットの9基ある「マーリン・エンジン」のうちの1基 ― 第1エンジン ― の圧力が突然低下し、エンジンを停止する指令が発せられました。エンジン自体からはデータが送られ続けていたので、当該エンジンは爆発しなかったと考えられます。エンジン・ベイ内部の圧力を逃がすために設けられているパネルが、1段目や他のエンジンを保護するために放出されました。飛行データを分析しましたが、1段目や他の8基のエンジンには悪影響は見られませんでした。 
「ドラゴン」宇宙船を予定軌道に投入し、国際宇宙ステーションとランデブーおよびドッキングさせるべく、フライト・コンピューターは設計されていたとおり動作し、打ち上げプロファイルをリアルタイムで再計算しました。これはうまく行き、「ドラゴン」宇宙船や(国際宇宙ステーションへの)物資補給ミッションに影響はありませんでした。

つまり、1基のエンジンの推力が失われたが、フライト・コンピューターが残りの8基のエンジンの推力を調整して予定通りに飛行することができたということです。ロケットの先端部に取り付けられていた「ドラゴン」宇宙船は予定の軌道にのりましたが、2段目に搭載されていた通信衛星は予定よりも低い軌道にしか投入できなかったとのことです。


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