2014年4月26日土曜日

遊星爆弾の悪夢


4月22日、NASAの元宇宙飛行士などが参加している B612財団 がシアトルで記者会見を開き、一つの都市を破壊・消滅させうる〝city-killer-size〟の小惑星が地球に衝突する頻度は、これまで考えられていたよりも高い、という主旨の発表を行いました。

包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)が世界中に展開している核実験探知用のインフラサウンド(注)観測網のデータを同財団が解析した結果、小惑星の大気圏突入によって引きおこされた爆発が 2000年から 2013年の間に 26回あり、それらは 1キロトンから 600キロトンの核爆発に相当するものであったことを確認したとのことです(広島型原子爆弾の威力は 15キロトンとされています)。

以下の記事に掲載されている動画では、26回の小惑星爆発がグーグル・アース上に次々に表示されます。私は、遊星爆弾の攻撃にさらされる地球を連想してしまいました:

以下は、動画に描かれた小惑星が「爆発」した日付、場所、放出したエネルギーのリストです。どういうわけか 25件しか載っていませんが:

1908年にシベリアのツングースカで起きた爆発は 5~15メガトン(40メガトンとする記事もあります)、昨年ロシアのチェリャビンスク近郊で爆発し破片を撒き散らした隕石が放出したエネルギーは 600キロトンと見積もられています。

重要な点は、上記 26回「爆発」を引きおこした小惑星が、地上や軌道上の観測施設で事前にまったく補足されていなかったことです。B612財団では、危険な小惑星を早期に発見するための赤外線望遠鏡を軌道上に打ち上げる〝Sentinel Space Telescope Mission〟を推進していて、打ち上げは 2018年に予定されています。

『TIME』誌のサイトは、B612財団の発表に対して批判的な記事を掲載しています。26回の爆発はいずれも小惑星あるいは隕石の衝突を地球の大気が防いだ結果で、地上で被害が出たのは26回中わずかに 1回(チェリャビンスク)であることを過小評価すべきではない、としています。また、記事では NASA の小惑星専門家の〝They’re in a sales mode〟という発言も紹介しています。B612財団が〝Sentinel Space Telescope Mission〟を売り込もうとしている(予算獲得や寄付を募る)ことを指していると思われます:

(注) 可聴域よりも低い周波数の音波。伝搬中の減衰が小さいので、センサーによって、はるか遠方で発生した音も捉えることができます。


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