気象庁の常時観測火山の一つである九重山(地図)で、わずかですが地殻変動が観測されています。
気象庁が毎月発表している火山活動解説資料では、同山の地殻変動について、従来は「GPS連続観測では、火山活動によると考えられる変化は認められませんでした」と記述されていましたが、2013年12月分からは「GPS連続観測では、一部の基線(坊ガツル-牧ノ戸峠、星生山北山腹-坊ガツル)で、わずかに伸びの傾向が認められます」となっています。
最新の解説資料(2014年2月分:PDF形式)に掲載されているグラフ(図5)を見ると、この伸びの傾向は2012年の後半あたりから始まっているようです。
また、昨年11月6日に実施した全磁力観測の結果は、解説資料(2013年11月分:PDF形式)に次のように記述されています:
硫黄山C領域の地下が帯磁傾向となっており、地下の温度低下を示唆している可能性があります。また、2011 年と今回を比較すると MN1、MN4 では磁場の減少傾向が鈍化してきており、MN2、MS1、MS2、MS3 では磁場の増加傾向が鈍化もしくは横ばいになってきています。帯磁傾向の鈍化から硫黄山の熱源の温度の低下の変化が少なくなってきていると考えられます。
全磁力観測の原理については以下の解説を参照してください:
- 防災メモ 【全磁力観測】 (PDF形式)
気象庁の資料によると、九重山が最後に噴火したのは1996年です。
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