2010年6月9日水曜日

タール山の噴火警戒レベル引き上げ ― フィリピン

6月 8日、フィリピンの首都・マニラの南 65km にあるタール山(地図)の噴火警戒レベルが 「2」(ALARMING) に引き上げられました:

タール山は、2005年 11月 23日以来警戒レベル「1」の状態が続いていました。今年 4月 26日から火山性の地震が増加し始め、5月 11日には火口湖の水温が 32°C から 34°C に上昇。6月 2日には低周波の火山性地震が観測され初め、過去 24時間には 高い周波数の火山性地震が 32回観測されました。中央火口の北側と北東側に噴気が見られ、周辺に噴出音が響いているとのことです。

周波数の高い火山性地震は、マグマの貫入によって山体内で岩石が破砕される際に発生すると考えられています。

地図で確認できるように、タール山の中央火口は大きなカルデラ湖の中にある島の頂上部にあります。火口そのものも火口湖として水をたたえています。Phivolcs(Philippine Institute of Volcanology and Seismology、フィリピン火山学・地震学研究所)の所長は次のように語っています:
タール山の問題は、(火口湖やカルデラ湖の)水だ。高温のマグマと水が接触すれば爆発がおきる。水の存在が爆発的な噴火を引きおこす。

噴火が差し迫っていることを示す兆候は、カルデラ湖内にある中央火口の島が隆起し、島の喫水線が低下していることだ。われわれはこの現象を視覚的に確認している。

タール山が最後に噴火したのは 1977年 10月 3日です。記録に残るもっとも激しい噴火は 1965年 9月 28日から 30日にかけてのもので、少なくとも 200人の死者が出ています。また、1911年の噴火では「津波」が発生し、約 2000人の死者が出ました。


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