今から 60年前の 1950年 6月 25日、北朝鮮が軍事境界線を越えて侵攻し、朝鮮戦争が勃発しました。
このブログで何度も紹介している 『ボストン・グローブ』 紙の “The Big Picture” が、当時の写真を集めた特集をしています:
北朝鮮側には中国の人民義勇軍、韓国側にはアメリカ軍が加わって闘われた戦争というイメージがあります。しかし、韓国側を支援したのは国連派遣軍であって、アメリカ以外の軍隊も戦闘に参加しています。上記写真集でも、イギリス兵・オーストラリア兵(26番の写真)、カナダ兵(34番)、イギリス海兵隊(37番)、トルコ兵(39番)などの姿が映像に残されています。
45番目の写真は休戦協定調印のようすです。閑散とした広い部屋の中に、大きく距離をとって置かれたテーブル。季節は夏のはずなのに、なんだか寒々とした雰囲気があります。
写真の中には、正視にたえないものも含まれています。北朝鮮軍の勢いに押されて後退を余儀なくされた韓国軍が、前線近くの刑務所に収容していた約 1800人の政治犯を即決処刑(12番)、アメリカ軍に追われて撤退する北朝鮮軍が約 400人の韓国市民を殺害(19番)、北朝鮮側が坑道の中で 60人以上の韓国市民を撲殺(25番)などなど。
北朝鮮憎しの感情のゆえか、再度の朝鮮戦争勃発を心待ちにするような記述をブログなどで見かけます。北朝鮮とアメリカ・韓国の間でなんらかの応酬があるたびに、生半可な軍事知識を持ち出してはしゃいでいるようで、実に嫌なものです。
自分が実際に戦地に赴いたり、住んでいるところが戦場になったりして、自分や家族の体が銃弾を浴びるようなことは絶対にないと高をくくっているから、そのようなことが書けるのかも知れません。戦争がおこればたくさんの人が死ぬことがわかっていないか、理屈ではわかっていても実感を伴っていないのでしょう。これも一種の平和ボケではないでしょうか。