上記 NASA の発表資料にもとづいて、復旧作業を時系列で書き出してみます。ボイジャー 2号に搭載されているコンピューターには、探査機の状態を送ってくるエンジニアリング・モードと、観測データを送ってくるサイエンス・データ・モードがあります:
- 4月 22日: ボイジャー 2号が送ってくる観測データが、地上で解読できないパターンになる。
- 5月 06日: ボイジャー 2号にエンジニアリング・モードに入るよう指令
- 5月 12日: 搭載コンピューターの全メモリー・データ(メモリーダンプ)を受信
- 5月 17日: メモリー内の 1ビットが反転していることが判明 (“0” であるべきところが “1” になっていた)
- 5月 19日: ボイジャー 2号にリセット指令を送信
- 5月 20日: 反転していたビットが正しい値に復帰していることを確認、ビットの反転が再発しないか監視継続
- 5月 22日: サイエンス・データ・モードに復帰する指令を送信
- 5月 23日: 正常な観測データを受信開始
現在までのところ、障害は再発していないようです。
例によってトンデモ屋さんたちは、ボイジャー 2号がエーリアンに乗っ取られた云々といった根拠のない憶測を喧伝していましたが、今回も現実は彼らの期待どおりにはならなかったようです。
33年前に打ち上げられた探査機ですので、搭載されているコンピューターもそれなりの年代物です。メモリーも相当老朽化していると思うのですが、復旧して良かった良かった。
ボイジャー 2号は 138億キロ彼方を飛行中です。地球からコマンド(指令)を送って、それに対するボイジャー 2号からのレスポンス(応答)が 返ってくるまでに 25時間以上かかります。
今回のエラーの原因究明と修復は、コンピューター史上最も遠いところでおこなわれたデバッギングではないでしょうか。
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