2026年6月27日土曜日

恒星間彗星 3I/ATLAS の起源


25年11月22日付「第3の恒星間飛翔体が太陽系に進入 (続報-12)」の続報です。
 
NASA や ESA(欧州宇宙機関)が、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で恒星間彗星 3I/ATLAS を観測した成果が 6月22日付の科学誌『Nature』に掲載されました:

以下は NASA の記事からの抜粋です ——

2025年12月、恒星間彗星「3I/ATLAS」が太陽から遠ざかり始めた際、天文学者たちはこの機会を捉え、NASA の強力なジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を同彗星に向け、その化学成分の詳細な観測を行いました。太陽に最も接近したことで彗星は温められ、その「太古の氷」がガスとなって明るいコマ(彗星の頭部を取り巻くガスや塵の雲)を形成しており、観測に絶好の状態にありました。
 
この彗星の名称は、太陽系外に起源を持つ「恒星間彗星」として確認された 3番目の天体であること(「3I」)、および最初に発見した望遠鏡である NASA 出資の「ATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)」に由来しています。
 
宇宙望遠鏡に搭載された近赤外線分光器(NIRSpec)による観測の結果、太陽系の彗星で見られる量の約30倍という、極めて高いレベルの重水素が検出されました。このことは、3I/ATLAS が銀河の歴史のずっと早い段階で、非常に低温な環境を持つ星系で形成された可能性を示唆しています。形成過程において、3I/ATLAS の構成物質は大量の放射線にさらされたと考えられますが、重水素を含む「重水」の氷を、地球では一般的な通常の H2O(軽水)の氷へと変化させるような、長期間にわたる熱にはさらされなかったようです。
 
さらに、NIRSpec の観測では、より軽い炭素12に比べて、炭素13はごくわずかしか検出されませんでした。これもまた、3I/ATLAS の起源が非常に古いものであることを示しています。なぜなら、銀河系内で星の誕生と死が繰り返されるにつれて、星系内の炭素13の比率は時間の経過とともに高まっていくからです。そのため、45億年前に形成された比較的若い星系である私たちの太陽系では、炭素13の比率が高くなっているのです。研究チームの推定によると、3I/ATLAS は、星の形成が最も活発だった「宇宙の正午(cosmic noon)」と呼ばれる時代、すなわち 100億〜120億年前に形成された可能性があります。その誕生時の環境は、比較的低温で密度の高い雲の中であったと考えられます。重水が豊富に含まれていることは、3I/ATLAS が形成初期の段階で極めて低温の状態にあったことを示しています。 

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