海洋研究開発機構(JAMSTEC)のウェブサイトに10月13日付で掲載された研究者コラムです。読み応えがあります。同機構が1997年以来実施してきた南海トラフ域の海底下構造探査の成果を知ることができます:
- 過去20年間のビッグデータから見えてきた南海トラフ地震発生帯 (動画、画像多数あり)
以下抜粋 ——
「例えば、室戸岬沖の昭和南海地震の破壊の伝播が及ばなかった領域には、富士山級の海山が沈み込んでいることが分かりました。また、昭和東南海地震と昭和南海地震の震源域の境界となる紀伊半島潮岬沖下には、沈み込むフィリピン海プレートの上に、周辺より硬く重いドーム状の岩体が存在することも大きな発見でした」
「紀伊半島潮岬沖下に沈み込むフィリピン海プレート上の周辺より硬く重いドーム状の岩体については、潮岬沖周辺どころか紀伊山地までもすっぽり覆うほど大規模であることがわかりました。その重みで岩体の沖側のフィリピン海プレートがたわみ、そこにできた割れ目や断層に水が入り込んだことで力を溜めにくい脆い領域が形成され、昭和の大地震発生時の滑りは硬く重いドーム状の岩体の側面に沿って、その脆くなった領域に伝わったであろうと解釈されました」