2009年11月18日水曜日

木星の衛星エウロパに魚が生息?

以前から、木星の衛星エウロパには、その氷で覆われた表面の下に、広大で深い海があることが推定されていました。その海に「従来モデルで想定されていた値の100倍の酸素が含まれているという画期的な研究結果が発表され大きな論争を呼んでいる」とのことです:
SF 作家たちは早い時期から木星系に地球外生命の存在を託してきました。太陽系内で地球以外に生命が存在するとしたらそれはどこかとの問に、アイザック・アシモフは 1960年代に出されたエッセイ集の中で「もちろん木星だとも」と答え、アーサー・C・クラークも『メデューサとの出会い』という作品の中で、木星の大気中を浮遊する巨大な生命体を描いています。木星の衛星エウロパについては、クラークが早くから注目していて、『2001年宇宙の旅』の続編・『2010年宇宙の旅』には、エウロパに着陸した中国の宇宙船が、エウロパの藻類(?)のような生物に遭遇・全滅する場面が描かれています。

『2010年宇宙の旅』で何よりも印象に残っているのは、その最終章近くで、宇宙船ディスカバリー号の船内コンピューター HAL9000 が人類に繰り返し伝えた、モノリスに象徴される超越的な存在からのメッセージです:
これらの世界はすべて、あなたたちのものだ。
ただしエウロパは除く。決して着陸してはならない。
現在、NASA は ESA(欧州宇宙機関)と共同で、エウロパを周回する探査機の計画を進めているようです。エウロパに着陸し、氷の表面を掘り進んで、その下の海洋を調査するのは遠い先の話になりそうです。探査機を完全に滅菌して、調査対象の天体が地球の微生物によって汚染されるのを防ぐのは、容易なことではありません。上記の記事には、以下のような記述があります:
探査機ガリレオは非常に興味深い調査結果をもたらした。特に、エウロパの表面下に塩分を含んだ海が広がっていることがわかり、生命が存在する可能性を見出した。万が一ガリレオがエウロパに墜落すると環境汚染の恐れがあったため、2003年、NASAはガリレオを意図的に木星に衝突させた。
この場合の環境汚染とは、地球の微生物をエウロパに持ち込むことですが、ガリレオがエネルギー源として搭載していた原子力電池のプルトニウムが飛散することも懸念されたのかもしれません。