2018年5月30日水曜日

溶岩流爆撃作戦とパットン将軍 (その3)



5月20日付「溶岩流爆撃作戦とパットン将軍 (その2)」からの続きです。

キラウエア山の溶岩流による被害が広がっている現在、溶岩流による破壊を阻止する方法はないのでしょうか。
ビッグ・アイランド(ハワイ島)でキラウエア山の溶岩流によって住宅地が破壊され続けている現在、人々は再び次のように思い始めています――破壊をくい止めるために何かできることはないのか、と。

現時点では、それに対する答えは「ない」です。人々にできる最善の方法は、今まさにやっているように避難することです。しかしそのような答えでは、人々はあれこれ憶測することをやめないでしょう。

「溶岩流を逸らす技術は非常にシンプルで、溶岩流の動きを観察しその結果を利用すれば可能です」と USGS は言っています。

「傾斜地に戦略的に障害物を配置すれば、理論上は、溶岩流を開発の進んだ地域からあまり開発の進んでいない地域へ逸らすことが可能です」と USGS は述べています。「溶岩流に向かって放水し冷却することでも、理論的には、進行する溶岩流の先頭部分を固めて、後続する溶岩の流れを他の経路に向かわせることができます。爆薬を使うことも理論上は可能です。溶岩洞(溶岩チューブ)や溶岩の流路、噴出口にできた障壁を爆破によって破壊し、溶岩の流れを別の方向に向かわせたり、脅威となる溶岩流の源を断つことができます。」

現代の、より強力な爆弾は、(マウナ・ロアに対して最初の爆撃が試みられた)1930年代に使われた非力な兵器よりも有効なのではないでしょうか?

「おそらく」というのが、米国地質調査所(USGS)の J.P. Lockwood と アメリカ空軍の F.A. Torgerson の答えです。「兵器や戦術、航空機の投下装置や発射装置は(マウナ・ロアに対して2度目の爆撃が試みられた)1942年以降、劇的に進歩しています」と彼らは指摘しています。

しかし、これまでに実施された真剣なテストはパットン将軍(当時は中佐)によるものだけだ、と指摘しているのは火山学者の Jess Phoenix です。そして最近のツイートで次のように述べています――パットン将軍は1935年にマウナ・ロア山の溶岩流に対する爆撃を本当に試みた。結果を先に言うと、爆撃は効果がなかった。溶岩はちっぽけな人間の使う爆弾を気にもとめなかった。そうなることはわかりきっていたのだ。火山の女神ペレに不敬を働いてはならない。

(完)


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