短い記事からは詳しいことがわからないので、海上保安庁のサイトを見たところ、以下の広報資料(pdf形式)がありました:
以下は上記資料からの抜粋です:
海上保安庁では、東京大学生産技術研究所との共同研究により、海底に設置した基準点の位置をセンチメートルの精度で計測する海底地殻変動観測技術を開発し、東北から四国沖にかけての太平洋側に海底基準点を設置して観測を行っています。上記資料にはグラフや地図も載っていますので、ぜひご覧になってください。地図では、国土地理院がこの地震について想定した断層モデルと海底基準点の位置関係も示されています。
この観測により、2005年8月に宮城県沖で発生した地震(M7.2)の際、震源のごく近傍(約10km)に設置した海底の基準点において、地震前後で東向きに約10cmの移動が検出されました。その後、さらに観測を継続したところ、2006年末頃まではほとんど動きがなく、2007年頃から、年間6.5cmの一定の速さで西北西に動き始めたことがわかりました。
これらの動きは、この地震を引き起こした原因である地殻ひずみの蓄積が、同地震の発生により解消され、一年程度の移行期間を経て、再びひずみの蓄積が開始される過程を、海底の動きとして捉えたものと考えられます。
これら一連の過程を海底で捉えたのは世界でも初めてであり、今後の宮城県沖地震の場所や大きさの予測に役立つと期待されます。
一つ疑問に思うのは、これらの海底基準点の動きが実際のプレートの動きを直接反映しているのかという点です。掲載されている「海底基準局の投入作業」という写真を見る限りでは、基準点は海底に置くだけのように見えます。海底の基盤まで杭を打ち込んでそこに固定するものではないようです。基準点の設置場所が堆積層に覆われていた場合は、プレートの動きを捉えているとは限らないのではないでしょうか。
海上保安庁というと、海難救助や不審船の取り締まりというイメージが先行しがちですが、海図の製作なども任務としてあり、海底地形などを調査するための最新装備と技術を持っています。