2009年5月2日土曜日

気象庁がひずみ計を増設へ

散発的にしか報道されていませんが、東海地震を予知するために設置されているひずみ計が、新たに 6か所 新設されることになりました:
以前から、旧型ひずみ計の更新の必要性が叫ばれていますが、予算がついたのは新設分だけで、既存の旧型ひずみ計の更新はありません。以下の記事は、その問題点を指摘しています:
記事をまとめると ――
  • 旧型ひずみ計は地殻のひずみの量しかわからないが、新型は力が加わる向きもわかる「多成分ひずみ計」
  • ひずみ計の耐用年数は 10~20年程度
  • 気象庁が予知情報を出す際に基準とするひずみ計は、今回の新設分を除いて 21か所; そのうち 5か所だけが新型で、16か所は旧型のまま
  • 旧型 16か所のうち、8か所が設置から 30年近く経過して老朽化; 残り 8か所は 91~95年に更新されたものの旧型
  • 2000年を最後にひずみ計の新設は途絶えていた
  • ひずみ計は地下水の影響を避けるため最低 200m の深さに埋設する必要があるが、未更新の旧型の大半は深さ 100m 前後に埋設
  • ひずみ計の設置には、地中に穴を掘って計器を埋設、地上にもデータ処理・伝送機器を設置する必要があり、1か所で億単位の費用が必要
―― とのことです。

4番目の記事(中日新聞)には、判定会長を務めた経験のある溝上恵・東大名誉教授のコメントが載っています:
技術が進んで新型機器があるのに使えていない。データに変化が出ても(前兆か、老朽化の障害かと)不安がある。一定時期がたったら更新すべきだ。ただ、気象庁は衛星(ひまわり)を抱え、海底地震計も予算の額が大きい。ひずみ計の更新を言うと、庁内の別の何かを削れと財務当局から言われ、1カ所分の予算獲得も至難の業だろう。