VORTEX2(Verification of the Origins of Rotation in Tornadoes EXperiment 2)と名付けられた史上最大規模の竜巻(トルネード)観測プロジェクトがアメリカで開始されています。このプロジェクトは、全米科学財団(NSF)と米国海洋大気庁(NOAA)から、合わせて 1200万ドルの資金提供を受けて、2009年と 2010年の竜巻多発シーズンにおこなわれます。今年の観測期間は 5月10日から 6月13日まで、来年は 5月1日から 6月15日までとなっています。アメリカだけでなく世界各国の研究者も参加しています。
プロジェクトの目的を手短に言うと、竜巻を発生させるサンダーストーム(激しい雷雨)とそうでないサンダーストームの違いを明らかにすることです。
前回の VORTEX プロジェクトは、1994年から 1995年にかけて実施されました。このときの観測で得られたスーパーセル(竜巻を発生させるような激しく長時間継続するサンダーストーム)についての貴重なデータによって、米国気象局(NWS)が、竜巻発生の遅くとも 13分前までには竜巻警報を出せるようになったと言われています。
今回の VORTEX2 は、前回よりも格段に進歩した観測機器を大量に投入して実施されるため、竜巻予報の精度向上に役立つ大きな成果が期待されています。
以下のページには、VORTEX2 の研究責任者であるロジャー・ワキモト博士(日系人?)のインタビュー・ビデオと、VORTEX2 の観測機器や観測態勢を説明したアニメーション・ビデオが掲載されています:
私もアメリカで何度か竜巻に遭遇したことがあります。一番恐怖を感じたのは、東海岸の出張先で夜 9時過ぎまでオフィスに残って仕事をしていたときのことです。いきなり、館内に警報サイレンが鳴り響き、竜巻がこちらに向かってきているので至急シェルターに避難せよという警備室からの放送が流れました。シェルターの場所などまったく知りません。夜 9時過ぎまで残っているようなアメリカ人がいるはずもなく、周りには誰もいません。窓から外を見ても真っ暗闇で何も見えません。広大な敷地にオフィスが点在しているので、警備室も自動車を使わないと行けないほど離れています。このときの恐怖感とその後の顛末については、長くなるので稿を改めて書こうと思います。
Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency