2020年4月1日水曜日

新型コロナウィルスと食品の安全性


3月12日付「新型コロナウィルスの感染力」では、プラスティックやステンレス、段ボールなどの表面に付着した新型コロナウィルスの感染力がどのくらい持続するのか、についてのテスト結果を載せた記事を紹介しました。今回は、新型コロナウィルスと食品の安全性についての情報です。

以下は、米国の "Serious Eats" のサイト掲載されている Q&A です。回答の作成には、食品安全の専門家でノースカロライナ州立大学准教授のベンジャミン・チャプマン博士が加わっています:

質問は多岐にわたっていますが、抜粋すると以下のようなものです。参考になる質問と回答がたくさんあります:
  • 新型コロナウィルスを吸引すること以外に感染する経路はありますか?
  • 食品に付着した新型コロナウィルスはどのくらいの時間、感染力が続くのですか?
  • 新型コロナウィルスに汚染された食品を食べたり触ったりすることで感染しますか?
  • 食品は新型コロナウィルスの媒介物とはならない、というのは確実ですか?
  • まだ納得できません。どうして食品は新型コロナウィルスの媒介物とはならないのですか?
  • 素手で食事をするのは危険ですか?
  • 食品に関して何か特別なリスクはありますか?
  • 食品のテイク・アウト(持ち帰り)や配達を利用したり、自宅で調理することによって COVID-19 に感染するリスクは高まるのでしょうか?
  • 中国産の食品のリスクは高いのですか? 輸入食品や商品はどうですか?
  • まだ不安なのですが、食べる前に食品を再加熱すればウィルスを破壊することができるでしょうか?
  • 食品を消毒する方法を教えてください。
  • 食料品店やスーパーマーケットで買い物をする最も安全な方法を教えてください。
  • ふたがない容器に入った食品を買っても大丈夫でしょうか?
  • 抗菌効果のある石けんを使うべきでしょうか?
  • 手の除菌用ローション(ジェル)を使うべきでしょうか?
  • などなど

すべての Q&A を翻訳する余力はないので、一つだけ意訳します。思わぬ誤訳の可能性がありますので、詳細は原文を参照してください:
  • 食品のテイク・アウト(持ち帰り)や配達を利用したり、自宅で調理したりすることによって COVID-19 に感染するリスクは高まるのでしょうか?

    感染の主要なリスク要因は他の人との近さです。自宅の外では他の人との接触の機会が増えますから、外出して食品を調達することは、配達してもらったり自分で調理したりするよりも危険性が高いといえます。

    そうは言うものの、自宅での調理には別のリスクが伴います。特に、スーパーマーケットで買い物をし汚染されている恐れのある食品の包装を扱う場合です。地元のレストランの調理人は、十中八九、より厳しい衛生上・安全上の規則を守っていますが、スーパーマーケットで食品の棚を補充する従業員はそうではありません。確かな経験則としては、いかなるものも——自宅外から持ち込まれる食品や郵便物であろうと、自宅にやって来る外部の人であろうと——汚染されている可能性があるという前提で取り扱うことです。それらを自宅に持ち込んだら手を洗い、清潔な入れ物に移し、可能であれば包装を消毒します。調理前、調理中、調理後にも手を洗います。(そして、鼻をほじるのは止めましょう。)

今後、本人が自覚していると否とにかかわらず感染者が増えると、食品の包装や配達される郵便物や新聞、宅配物の表面に新型コロナウィルスが付着している可能性が高まると思います。どのくらいの量のウィルスを吸い込んだり食品とともに食べたりした場合に感染するのかについては、まだ定量的なデータが明らかになっていませんが、知らず知らずのうちに自宅内にウィルスを持ち込んでしまうことは避けるに越したことはありません。


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