蔵王山(地図)の火口湖「御釜」(地図)では、10月8日と19日に湖水の一部が白濁しているのが確認されています。その御釜の湖水を東京工業大学火山流体研究センターが分析した結果が、「第130回 火山噴火予知連絡会資料 (その 10) 追加資料」(PDF形式、4.4MB)の3ページに載っています。白濁が確認される前に採取された湖水を分析したものですが、以下に引用します:
2014年9月18日に蔵王山御釜で採水した湖水の陰イオン分析結果
pH: 3.22
F: 1.08 Cl: 2.84 SO4: 339 (mg/l)
硫酸酸性であるが、Clをわずかに含む。Fも検出されており、高温の火山ガスの寄与があるものと推察される。
なぜ、F(フッ素)イオンが検出されると「高温の火山ガスの寄与がある」と推定できるのでしょうか。たぶん、こういうことだと思います ―― 火山ガスにはフッ化水素(HF)が含まれています。フッ化水素は水に溶けやすく、フッ素イオンがわずかですが解離します。このフッ素イオンは、水中のカルシウム(Ca)などと結合して水に溶けにくい化合物(フッ化カルシウム CaF2、蛍石の主成分)などになり、すぐに沈殿してしまうので、結果として水中のフッ素イオンの濃度は高くなりません。そういう性質を持つフッ素イオンが湖水中に検出されたと言うことは、沈殿量を上まわる量のフッ化水素が供給されていると考えられます。あるいは、高温の場合はフッ化水素の解離が促進される(?)からかも知れません。
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