赤いキツネと緑のタヌキじゃないですけれど ・・・
10月20日午前3時29分(日本時間)、サイディング・スプリング彗星(C/2013 A1)の核が火星に14万kmまで近づきます。地球から月までの距離の約3分の1です。もし、彗星がこの距離まで地球に近づいたとしたら、地上ではパニックに近い騒ぎになるのではないでしょうか:
- 緑色を帯びたサイディング・スプリング彗星 ― 10月16日撮影
- 火星接近の想像図
- サイディング・スプリング彗星と火星の動き (GIF動画)
- Comet Siding Spring at Mars: How a Rare Celestial Event Was Discovered
- Comet Siding Spring set to whizz close to Mars
最接近時の彗星の火星に対する相対速度は秒速56km(時速約20万1000km)と計算されています。
現在、火星の周囲には米・欧・インドの5つの衛星が回り、火星の表面には2台の探査車が活動中です。最接近の100分後に彗星の尾の最も濃密な部分が火星を通過します。彗星が放出する高速の塵が衛星に衝突する可能性があり、NASAなどでは、最接近の90分後から20分間が最も衝突のリスクが高まるとみて回避策を講じています:
サイディング・スプリング彗星は太陽系最外縁にあるオールトの雲からやって来て、太陽に近づくのは今回が最初であることから、太陽系創世当時のままの姿を保っていると考えられています。そのため、貴重なデータが得られると期待され、火星の周りの衛星や火星表面の探査車、地球周辺の宇宙望遠鏡やSOHOなどの太陽観測衛星、さらに世界中の天文台がこぞって観測することになっています。
以下は、NASAの特設サイトです。多数の画像や動画があります:
現在、火星は夕方の西空に1等星よりやや明るく見えていますが、サイディング・スプリング彗星が最接近するときには地平線の下に沈んでしまっていて、日本から見ることはできません。
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