2021年6月4日金曜日

富士山の噴火警戒レベル判定基準を公表

 
6月4日、気象庁が富士山の噴火警戒レベルの判定基準を公表しました:
 
「富士山では、噴火の発生が予想される火山活動活発化の過程でレベル 2は発表しない。ただし、火山活動が低下する過程などにおいてレベル 2を発表する場合がある」:  
 
「最も新しい富士山の噴火である 1707年の宝永噴火においては、明瞭な先駆現象が発生していたことがわかっている」、「宝永噴火は、噴火の規模や噴出率、その噴火の初期にデイサイト質のマグマが噴出した点などにおいて、富士山の噴火の中では特異な事例である」、「より規模の小さい噴火や、一般的な玄武岩質火山の噴火を想定した場合、宝永噴火前のような顕著な地震活動を伴わずに噴火に至る可能性もある」:

次の富士山噴火は、宝永大噴火や延暦大噴火のように大量の火山灰を降らせるタイプではなく、貞観大噴火のような玄武岩質の溶岩が流出するタイプの可能性が高い、と気象庁はみているのでしょうか。
 
上掲の解説資料の冒頭は、富士山の噴火の歴史の簡潔な要約となっています。一読の価値ありです —— 「富士山は約 2 万年前の大規模な山体崩壊の後(中略)このように富士山における噴火の発生場所は、山頂部に限定されていない。 (中略)噴火の規模は、中~小規模が圧倒的に多く、噴火様式は、火砕物放出、溶岩流出、及びそれらの混合型で、少数であるが火砕流の発生も確認されている。また、約5600 年前以降で最大の火砕物放出を主体とする噴火は 1707 年の宝永噴火であり、最大の溶岩流出を主体とする噴火は 864 年に発生した貞観噴火である」

宝永大噴火の 49日前には南海トラフで宝永大地震(Mw 8.7〜9.3)が起きていますが、最近、以下のような研究結果が発表されています:

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