私は NTTドコモの携帯電話を長年使っています。最新の第3世代 FOMA ではなく、第2世代の mova です。今年になって突然、ドコモから mova のサービスを 2012年3月末で打ち切るとの通知が郵送されてきました。以下はドコモのホームページに掲載されている報道発表資料です:
契約してから 10年も経っていないのにいきなりサービス打ち切り通知。この仕打ちはひどい。ドコモは、mova の使用者に対して「FOMA サービスへの契約変更に際しては、事務手数料を無料とさせていただいているほか、対象機種をご購入された場合に、端末価格を割引するキャンペーンを実施しております」と慇懃無礼かつ恩着せがましく述べています。しかし、勝手に新しい規格を導入し、旧規格のサポートを打ち切ることによって、旧規格の使用者に余分の手間や出費を強いていることに変わりはありません。事務手数料を無料にするのは当たり前のことですし、端末にしても無償で最小機能の第3世代機種への交換に応じても良いくらいのものです。
アナログ・テレビ放送の打ち切りや、旧 Windows のサポート終了、旧 Windows 向けディバイス・ドライバーに対する互換性無視、白熱電球の生産縮小・打ち切り計画など、最近この種の話が多すぎます。電波の有効利用、技術の進歩、環境対策など理由は色々あるとは思いますが、互換性のない規格に移行することへの企業の躊躇が減り、歯止めが弱くなっているように感じます。
TV 放送がモノクロからカラーに変わったときには、それまでのモノクロ TV 受信機が問題なく使える方式が採用されました。通信回線が同軸ケーブルから光ファイバーに変わっても、インターネット端末にはなんの変更も要求されません。
旧規格と新規格の間の互換性にあまり拘泥しない傾向は、マイクロソフトが Windows で市場の覇権を握ってから目立つようになったように感じます。Windows はバージョンが上がるたびに、それまで使えていたディバイス・ドライバーなどの互換性が失われることが多く、周辺機器が使えなくなることがしばしば起こりました。それに比べると、マイクロソフト以前にコンピューター市場を席巻していた IBM は互換性の維持にきわめて神経質でした。新しいハードウェアやソフトウェアを発表する際には、それまでの製品との互換性を徹底的にテストし、どうしても技術的に互換性を保てないときには、「マイグレーション・パス」という解決策や優遇策をユーザーに提示していました。
かつて、マイクロソフトと IBM は共同で「OS/2」という PC 向けの OS を開発していた時期があります。その後、マイクロソフトは IBM と袂を分かって Windows の単独開発に走ることになるのですが、その一因には IBM が求める厳密な互換性の維持に嫌気がさしたことがあるとも言われています。また、IBM が凋落した原因は、ダウン・サイジングの波に乗り遅れたことに加えて、互換性の維持に汲々として新製品の開発が長引き、新市場への対応が後手後手にまわったことも要因の一つと考えられています。
話がだいぶそれてしまいました。mova のサービスを打ち切るドコモへの腹いせで、携帯電話をソフトバンクの iPhone に変えることを検討しています。以前から、日本製携帯電話のメニュー構造の一貫性のなさに辟易し、文字入力のチマチマした島国根性的みっともなさに嫌悪感を抱いていた私にとって、iPhone は非常に魅力的です:
iPhone のアプリケーションについて調べているうちに、以下の記事に遭遇しました。イタリアで今年 4月に発生したラクイラ地震をきっかけにして、iPhone の無料アプリーケーション “iSeismometer” のダウンロードが急増したという内容です:
“iSeismometer” は iPhone に搭載されている 3軸加速度センサーを利用して、地震波を 3次元で記録し、スペクトル解析などをすることができるアプリーケーションです。以下のページに “iSeismometer” が稼働している状況を写した動画 2編があります: