2009年7月31日金曜日

リュウグウノツカイ 釣り上げる ― 鳥取県

7月 29日朝、鳥取県境港市潮見町で、釣り人が深海魚・リュウグウノツカイを釣り上げたとのことです。掲載されている写真で見る限りでは、あまり大物ではないようです:
中国地方の日本海側では、このところ深海魚の捕獲が相次いでいます:
6月 28日、鳥取県米子市
4月 19日、山口県萩市
4月 18日、山口県長門市
日本海側ではありませんが、同じ頃(4月中旬)に広島県呉市沖の瀬戸内海でシャチブリという深海魚が捕獲されています:
なお上に紹介した記事の中には、次のような気になる文言が記載されています:
サケガシラについて: 「かつては珍魚だったのですが(今でも地域によっては珍魚です!)、萩では2000年をすぎたころから初夏にちょくちょく出没するようになり、もう、この魚が現れない年がないほどになってきました」

深海魚の出現多発について: 「山口県の日本海側では、近年水深が浅い近海で珍しい深海魚などの確認が相次いでおり『なぜなのかは謎』(萩博物館)という。」
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皆既日食と動物の行動 (続報-2)

「皆既日食と動物の行動 (続報)」では、インドの動物の皆既日食に対する反応を紹介しましたが、今回は中国の動物についての報道です。

以下は中国東部・杭州市(浙江省の省都)の動物園についての記事です:
以下に記事をまとめます:
2頭のインドゾウは、太陽が見えなくなると鼻でつかんでいた草を落とし、ためらうことなく、ねぐらにもどってしまった。

3頭のキリンは空が暗くなると囲いの隅に集まり、じっとしたままあたりを見まわした。2分後、そのうちの 2頭はねぐらにもどったが、残りの 1頭はその場にとどまり、日食に当惑している様子を見せていた。

サルは日食の間、動物園内で最も騒がしいグループだった。サルは、ふだんは猿山で騒いでいるが、ねぐらにもどった。2頭のキツネザルはねぐらにもどっても鳴き止まなかった。

日食は、鳥類の体内時計と方向感覚を狂わせた。タンチョウヅルとフラミンゴは皆既日食が始まると突然眠り込んでしまった。しかし、数分後に皆既状態が終わり太陽の光がもどってくると、何事もなかったかのように「新たな一日」の生活を始めた。

「園内の動物のほとんどにとって皆既日食は初めての経験だった。鳥類とゾウは太陽の光に特に敏感で、トラ、ライオン、ヒョウ、パンダなど他の動物よりも顕著な反応を示した」と飼育員の一人は語っている。

皆既日食は長く続かなかったため、すべての動物はすぐに通常の生活パターンにもどった。
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Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency

皆既日食と動物の行動 (続報)

7月 22日、インド、中国、日本の薩南諸島などで皆既日食が見られましたが、日本のほとんどの地域では部分日食となりました。当地(神奈川県・県央地区)では雲が全天を覆い、太陽はまったく見えませんでした。部分日食の食分が最大となる 11時過ぎ頃、空の明るさにまったく変化は感じられませんでしたが、近所の犬がしばらく吠え続けました。日食が原因かどうかわかりませんが。

7月 21日付の「皆既日食と動物の行動」という記事で、インドでは皆既日食が動物に与える影響を調査するプロジェクトが進行中であることを紹介しましたが、以下は、その観察結果を伝える記事です(正式の報告は後日出されるそうです):
記事の内容を以下にまとめてみました:
マドヤ・パラデシュ州にある Van Vihar 国立公園では皆既日食中の動物の行動の変化が専門家によって記録された。

「わが国でこのような調査がおこなわれるのは初めてのことである。予想以上に多くの動物がふだんとは異なる行動をとった。皆既日食によって空が暗くなると、あるものは非常に動きが鈍くなる一方で、別の種は異常に活発になった」と国立公園の園長は電話インタビューに答えた。

同国立公園は、専門家による 23のチームを結成し、日食中のさまざまな動物の行動を調査した。太陽が完全に月の背後に隠れると、トラ、ライオン、パンサーがねぐらにもどるのを専門家たちは目撃した。それらの動物は非常に動作が緩慢になった。一方、クマのような夜行性の動物は、いつになく活発に行動した。

シカなどの草食性の動物は異なる反応を示した。草食性の動物は、一般的に日中は別々に離れて草を食むものだが、突然集まって群を作り、日食の間はじっと立ちつくしていた。

夜明けからさえずっていた鳥類は、(日食がピークにさしかかる)午前 6時 20分から 6時 30分の間、沈黙した。クジャクとタゲリは例外だった。

若い動物は顕著な違いを見せた。ふだんは早朝に巣穴を出て、日暮れにまたそこへもどるという生活パターンをとるものが多いが、皆既日食になると彼らは大急ぎで巣穴にもどり、そこに籠もってしまった。

飼育員を含む専門家たちは、皆既日食の一週間前の 7月 15日から調査を開始した。同じ時間帯の動物たちのふだんの行動を記録し、皆既日食の時の行動と比較するためである。

動物は、地震や津波の襲来を事前に知る能力を持っているとされるが、今回の調査で日食を事前に察知した動物はいなかった。日食に先立って行動が変化する動物は見つからなかった。動物たちは、日食前にはふだんと変わりない行動を示していた。
インドでは、ほとんどの地域で日の出の時点で日食が始まっており、場所によっては皆既状態の太陽が昇ってくる地域もあったとのことです。

Image Credit: U.S. Central Intelligence Agency

2009年7月30日木曜日

チャンドラヤーン 1号の撮影した皆既日食

月を周回中のインドの月探査機・チャンドラヤーン 1号が撮影した皆既日食中の地球の画像を、ISRO(Indian Space Research Organization、インド宇宙研究機構)が公開しています:
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クラカタウ山の近影

クラカタウ山のストロンボリ式噴火を写した印象的な写真に出会ったので紹介します。クラカタウ山は、インドネシアのスマトラ島とジャワ島の間のスンダ海峡にある火山島です。撮影されたのは今年の 6月上旬です:
クラカタウ山といっても、精確にはアナク・クラカタウ(クラカタウの子供)と呼ばれる火山です。もともとのクラカタウ山は、1883年の大噴火によって山体のほとんどが消滅してしまいました。アナク・クラカタウ山は、その後に形成された火山です。

1883年の大噴火は、人類が経験した史上最大級の噴火とされています。山体のほとんどが吹き飛ばされ崩壊したため、高さ 20メートルに達する津波が発生、死者 36000人を出しています。爆発的噴火によって発生した気圧波が地球を 7周りしたことが当時の気圧計の記録に残っており、爆発音は南アフリカでも聞こえたと伝えられています。また、噴煙が成層圏にまで達して拡散し地球全体を覆ったため気候が寒冷化し、噴火後 5年間にわたってビショップ環(*)が観測されたり、日没時には太陽が異常に赤く見えたりしたとのことです。

なお、クラカタウ(Krakatau)は、しばしば「クラカトア」(Krakatoa)とも表記されますが、スミソニアン研究所(Smithsonian Institution)の資料によると、後者は誤りであるとのことです。

上記の写真では、クラカタウ山の上空に北斗七星が見えています。この北斗七星の「ひしゃく」の先端部にある 2つの星を結んだ線を延長すると、北極星に行き当たることは小学校で習うことだと思います。この写真でそれをおこなうと、北極星は水平線すれすれか水平線よりも下にあり、クラカタウ山の背後に隠れていることがわかります。クラカタウ山のある場所は南緯 6° で、ほとんど赤道直下と言ってよい場所です。赤道付近では北極星は水平線すれすれに見えます。

上記の写真を含む一連のクラカタウ山の写真は以下のページにあるサムネールをクリックすると見ることができます:
クラカタウ山の位置は以下の地図で確認できます。非常に多くの火山が記載されていますが、地図の左側やや下の部分に “Krakatau” の文字があります:
(*)ビショップ環: 光冠の一種で、激しい火山爆発で細かい火山灰が空高く成層圏にまで噴き上げられた時などに見える。1883年インドネシアのクラカタウ火山の爆発の時、ハワイの宣教師ビショップ S.E.Bishopが、この現象の学問的な記録を残しているので、その名前をとってビショップ環という。環の外側は赤褐色、内側は青色で、その半径は太陽から角度で 20度以上に達する。(平凡社世界大百科事典)  太陽や月の周辺に現れる「暈」(かさ)に比べると、視半径が非常に大きいのが特徴です。大気圏内核実験の後にも観測されたことがあるそうです。

2009年7月29日水曜日

藤原教通が見た二星会合

古い文書に書き残されている天変地異や怪異と地震の記事を収集するのが趣味のようになっています。地震の宏観前兆が含まれているかもしれないという期待があるからです。

最近、講談社学術文庫から《藤原道長 「御堂関白記」》(全現代語訳 倉本一宏)の上・中・下が相次いで刊行されました。さっそく買い求めて読んでいます。平安時代、摂関政治の絶頂期に最高権力者の地位にあり、栄華の極みにあって「この世をばわが世とぞ思う望月の欠けたることもなしと思えば」という和歌を詠んだことでも有名な藤原道長(ふじわらのみちなが)が記した日記です。

訳者の解説によると、道長は自分が怖いと思うことについてはほとんど日記に書かなかったそうです。別の公卿の日記、たとえば藤原実資(ふじわらのさねすけ)の日記『小右記』(しょうゆうき)などによると、道長自身はしばしば物怪(もののけ)に悩まされていたことがうかがえるのですが、そのことについて『御堂関白記』(みどうかんぱくき)にはいっさい記していないのだそうです。

そのような『御堂関白記』ですが、宏観異常かも知れないと思える怪異や不思議な出来事と地震の記事が散発的に見つかります。

以下に紹介する記事は、宏観異常とは言えませんが、道長の息子・教通(のりみち)が目撃した不可思議な現象です:
長和 4年(西暦 1015年) 7月 8日

左衛門督(さえもんのかみ=藤原教通=道長の 5男)が云ったことには、「夜分、二星会合を見ました」と。「その有様は、二星が、各々、ゆっくりと行き合って、間が三丈ほどになりました。小星がそれぞれから出てきて、まず大星の許に到りました。小星が元に還った後に、二星が早く飛んで会合しました。後に雲が来て、会合している二星を覆いました」ということだ。「この事は、昔の人びとは見ていた」ということだ。近代は、未だ聞いたことがない事である。感慨は少なくなかった。
何らかの天文現象だと思うのですが、該当するものを思いつきません。人によっては UFO を思い浮かべるかも知れません。道長よりも前の時代には目撃されていたが、道長の時代には聞いたことがないという記述があることから、まったく初めての現象ではなく、それまでにも何度か目撃され伝承されていたことがわかります。

『御堂関白記』に残っている宏観異常かも知れない記事については、今後紹介していくつもりでいます。

親と同居している若い男性は暴力的

イギリスのロンドン大学を構成するカレッジの一つ、Queen Mary の研究者が 〈親と同居している若い男性は、親と離れて生活している同世代の男性に比べて暴力的である〉 との研究結果を発表しています:
大学のプレス・リリースをまとめると以下のようです:
親と一緒に生活している 20歳代前半の男性は、負うべき責任が少ない一方で、アルコールなどに費やせる可処分所得は多い。

このグループに属する若者はイギリスの全男性人口の 4% を占めるに過ぎないが、過去 5年間では全暴力傷害事件の 16% を引きおこしている。

社会的自立の遅れと親の家にとどまる傾向は、イギリスとアメリカでは過去 40年間、増加を続けている。

今回の結論は、過去 5年間に経験した暴力的な行動と精神衛生上の問題について、8000人超の男女を調べた結果得られた。

今回の調査によって、若い男性の暴力に関して、親の家に同居することが他の要素よりも大きなリスク要因となっていることが初めて示された。

調査をおこなった研究者は次のように述べている:
「おもに他人を対象にして家の外で暴力沙汰をおこすというのが最も多いパターンだが、そのほかにも危険な飲酒、薬物乱用、性的なリスク受容、暴力を伴わない反社会的行動など、快楽主義的で社会に対して否定的な行動が見られる」

「それらは、住むところを確保したり子どもを育てたりする責任がなく、女性のパートナーと暮らすことによって得られる恩恵を経験したことがない若者に共通して見られる傾向である」

「かつては、親と同居している若い男性は親を経済的に支えたものだが、現在は逆に親が若い男性を経済的に支援するようになっている。そのような男性の使える金銭は、親元から自立してより大きな社会的責任を負っている同世代と同じレベルであることが今回の調査で明らかになっている。そのため、親と同居している若い男性は自立している同世代と比べて、より多い可処分所得を持っており、そのことが親と同居している若い男性にアルコールに伴う問題が多いことの一因となっている」
日本とイギリスでは文化的背景や社会的条件が異なるので、イギリスで得られた調査結果がただちに日本にも当てはまるとは言えませんが、昨今報道される暗いニュースの数々を見ていると、日本にもその兆候があるのかな、とも思えます。

2009年7月27日月曜日

スピリット ― 今度はダメかも

2004年 1月に火星に着陸して以来、設計寿命の 90日を大幅に超えて現在も活躍している 2機の探査車・スピリットとオポチュニティですが、火星表面の厳しい環境に長期間さらされて満身創痍の痛々しい状態となっています。数年前から、スピリットは右の前輪が回転しなくなり、その固定した車輪を引きずりながら後ろ向きに進むようになっています。一方のオポチュニティは、観測機器を搭載したロボティック・アームの動きに制約がでています。また、両機とも岩石の表面を研磨するための RAT と呼ばれる金属製の回転ブラシが摩耗して、満足に研磨ができない状態になっています。

これまで、両機は困難に遭遇するたびに、地球から回避手段の指令を受けたり、改良したコントロール・プログラムをダウンロードするなどして克服してきたのですが、ここに来てスピリットが最大の危機に直面しています。スピリットは、地球時間の 5月始め以来、トロイと名付けられた微細な粒子の砂地に車輪が埋まってしまい、動けなくなっています。さらに、砂地の中に埋もれていた岩の頂上部分がスピリットの腹(車体の下面)に接触していることが、事態をいっそう悪くしています。

以下は、スピリットがトロイに足を取られる直前の写真です。写真の左下に写っているのはスピリットの 6つある車輪のうち左の前輪、右側に写っているのは回転しなくなり固定したまま引きずられている右の前輪です。スピリットは、右前輪の問題を克服するために、後ろ向きに走行しています。左前輪が細かい粒子の砂を巻き上げはじめていることと、右の前輪が引きずられた跡が長くのびていることがわかります:
地球上ではスピリットが陥った状況を再現して、脱出方法を検討しています。スピリットは左に傾斜した砂地「トロイ」で、車輪が半分以上埋まってしまい、動けなくなっています。以下は、再現テストを写した写真です。スピリットの置かれている状況がよくわかります:
これまで数々の困難を克服して多大な成果を上げてきたスピリットですが、今度ばかりはギブ・アップかも知れません。

2009年7月26日日曜日

星座についてのドボン問題

テレビ朝日系列で放送されている「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」の「プレッシャー STUDY」をまねて問題を作ってみました(選択肢が番組より多いですが)。身のまわりの人間に試してもらいましたが、星占いに登場する 12 星座(黄道十二宮)やオリオン座、カシオペア座など以外は、あまり知られていないようです。正解は後日この記事の末尾に追記します。

次の動物(想像上の動物を含む)のうちで、実際に星座の名前としてあるものを選びなさい。ただし、一つだけ星座の名前ではないものが含まれています。それを選んだら、即終了です。
  1. いっかくじゅう(一角獣)
  2. いるか(海豚)
  3. うお(魚)
  4. うさぎ(兎)
  5. うま(馬)
  6. うみへび(海蛇)
  7. おおかみ(狼)
  8. かじき(旗魚)
  9. かに(蟹)
  10. カメレオン
  11. からす(烏)
  12. きょしちょう(巨嘴鳥)
  13. きりん(麒麟)
  14. くじゃく(孔雀)
  15. くじら(鯨)
  16. さそり(蠍)
  17. しし(獅子)
  18. つる(鶴)
  19. とかげ(蜥蜴)
  20. とびうお(飛魚)
  21. はえ(蝿)
  22. はくちょう(白鳥)
  23. はと(鳩)
  24. ふうちょう(風鳥)
  25. へび(蛇)
  26. ほうおう(鳳凰)
  27. みずへび(水蛇)
  28. やぎ(山羊)
  29. やまねこ(山猫)
  30. りゅう(竜)
  31. わし(鷲)
【2009年 9月 7日追記】 正解は以下の空白部分をマウスで選択して、文字の色を反転させると現れます:
“ドボン”は、5番の「うま(馬)」です。それ以外の動物はすべて、国際天文学連合(IAU)が定めた 88星座の名前として実在します。大航海時代にヨーロッパ諸国の航海者が名付けた南半球の星座は、「カメレオン座」のように日本ではまったく見えないか、「くじゃく座」のように地平線に近いところに一部分だけが見えるものが多く、知名度が低いと思われます。

「地震の大研究」

今朝の朝日新聞・教育面に、「『地震の仕組み』学んで 東大地震研の大木さん 児童向けに刊行」という記事が写真入りで掲載されています。東京大学地震研究所でアウトリーチを担当する大木聖子(さとこ)助教(写真で見る限りでは女優の鶴田真由似)が小学生向けに執筆した本を紹介する内容です。

本の内容は以下のページ(PHP研究所のサイト)でどうぞ:
ページ数もあまり多くなく、夏休み中の小学生が読破するには好適ではないでしょうか。

大木さんについては、最近つぎのような記事も朝日新聞に掲載されていました:
ジャンプして地震をおこすという発想で思い出すのは、かつての冷戦時代に流布したジョークです。中華人民共和国の全国民(当時は 6億人超?)が、毛沢東の号令で一斉にイスや机から飛び降り、地震をおこして地球の裏側の資本主義国を壊滅させるというものです。実際に実行したらどのくらいのマグニチュードになるのかを試算した記事も見た記憶があるのですが、残念ながら数字は思い出せません。実行した場合、「震源」に一番近い中国が一番大きな被害を受けるようにも思うのですが。

2009年7月25日土曜日

国際宇宙ステーションの最後

スペースシャトル「エンデバー」が運んだ船外実験施設を取り付けたことによって、国際宇宙ステーション(ISS) における日本の実験棟「きぼう」が 7月 19日午前(日本時間)にようやく完成しました。四半世紀にわたる開発期間と 7000億円を超える巨費が費やされた「きぼう」ですが、はたしてそれに見合う成果が上げられるのでしょうか。

NASA の ISS を担当する責任者が、ISS の運用は 2015年で終了し、2016年第 1 四半期に ISS を太平洋に落下させると公言しています。以下は、ワシントン・ポスト紙の 7月 13日付の記事です:
2010年には最後のスペースシャトルが退役し、ISS への有人の交通手段はロシアのソユーズだけとなってしまいます。そのような状況下で、多額の税金を投入した「きぼう」は、タイムリミットの 2015年までに十分な成果が上げられるのか、非常に心許ない状況です。

ISS の運用終了は、NASAの予算削減や、宇宙開発の優先度が国際宇宙ステーションから有人月飛行と月面基地建設にうつったことが主な原因です。アメリカの中にも賛否両論があり、ISS の延命を望む声の一方で、ISS の効用に非常に懐疑的な意見も多数出されています。

上記記事の末尾では、"Give it to China. Let them support the damn thing."(ISS を中国にやってしまえ。連中にそのくだらないしろものを維持させればいい。) という意見も紹介されています。中国は、国際宇宙ステーションのプロジェクトには参加せず、独自の宇宙ステーション建設を計画しています。

イエメンで大地震のうわさ

イエメンでは、近く大地震発生するとのうわさが流れています。ある地区では 7月17日に小さな地震がありましたが、この地震をきっかけにして地区の住民が住居を放棄して避難する事態になっています。以下の記事は、イエメンやサウジアラビアで近く大地震がおこるとのうわさは科学的に正しくないとの声明を、同国の地震監視センターの責任者が出したことを伝えています:
上記記事によると、イエメンでは 1982年 12月 13日の地震で、3000人を超える死者がでています。以下はその地震についての USGS(米国地質調査所)の資料です:

2009年7月24日金曜日

北米と欧州でラベンダー色の夕焼け

千島列島の Matua 島(日本名:松輪島)にあるサリチェフ峰(日本名:芙蓉山、松輪富士)が 6月に大きな噴火をおこしましたが、その噴出物や、それが大気中の成分と反応して形成されたエアロゾルなどが大気中を漂っているため、北米やヨーロッパでラベンダー色の夕焼けが目撃されるなど、太陽光の散乱異常が起きています:
過去の関連記事:

ヘビが原因の停電多発 福島県・新潟県・鹿児島県

昨日(7月23日)は、ヘビが原因の停電が各地で起きています。

1 福島県 二本松市
「ヘビによる新幹線の停電は、2007年10月に長野県内で長野新幹線が停止して以来のこと」で、JR 秋田支社は「珍しいケース」と語っています。
2 新潟県 新潟市
新潟県では 5月25日にもヘビが原因の停電が発生しています。
3 鹿児島県 西之表市(種子島)
「日食の余韻さめやらぬ夜の珍事」、「カラスが原因の停電は前年度 2件発生したが、ヘビは珍しい」とのことです。日食との関係について電力会社の担当者は「時間帯が違うので関係ないと思います」と語っています。
過去の類似事例も参照してください:

2009年7月23日木曜日

神奈川県が地震被害想定調査を更新

今朝(7月23日)の朝日新聞〈神奈川さがみ野〉面によると、神奈川県が 22日、県内で発生する恐れのある 9つの地震に関する被害想定調査の結果を発表したとのことです。例によって朝日新聞の記事はまだネット上に現れていないようです。また、神奈川県のサイトにも、記事のもととなった資料はアップロードされていないようです。以下は他紙の記事です:
朝日新聞の記事によると、前回(10年前)の調査は 5つの地震(東海、南関東、県西部、県東部、神縄・国府津-松田断層帯)を対象としていましたが、今回は新たに三浦半島断層群、東京湾北部、南関東と神縄・国府津-松田断層帯の連動、元禄型関東地震の 4つを検討対象に加え、また、地震発生の想定時刻も「冬の午後 6時」だけでなく、「冬の午前 5時」と「夏の正午」も調査しているとのことです。

朝日新聞の記事には、「冬の午後 6時」発生の場合の想定被害が表の形でまとめられています。その中でもっとも大きい被害が見込まれているのは、南関東地震と神縄・国府津-松田断層帯の連動地震(M7.9)で、死者数 1万1380人、全半壊数 90万6320棟と見積もられています。

ニュージーランドがオーストラリアに近づいた

先週 7月15日(水)にニュージーランドの南島南西部で M7.6(当初発表では M7.8)の大地震が発生しました。これは、今年になって地球上で発生した地震としては最大規模で、ニュージーランドでは 78年ぶりの大地震です。幸いなことに、この地震は人口密度のきわめて低い地域で発生し、プレート境界の「やわらかい岩盤」が地震の揺れを減殺したこともあって、人的被害はなく、物的被害もわずかでした。

この地震によって、ニュージーランドの南島南西部は西方向に約 30cm 移動し、オーストラリアに近づいたと、各メディアが伝えています:
南島の東海岸は西に 1cm 程度しか移動していないので、結果的に南島は大きくなったことになります。

ニュージーランドは、インド・オーストラリア・プレートと太平洋プレートの境界に位置しています。プレートの境界は、北部ではトンガ・ケルマディック海溝、南部ではマッコーリ海溝です。ニュージーランドの地勢をややこしくしているのは、北のトンガ・ケルマディック海溝では太平洋プレートがインド・オーストラリア・プレートの下に沈み込んでいるのに対して、南のマッコーリ海溝では逆にインド・オーストラリア・プレートが太平洋プレートの下に沈み込んでいるという事実です。

トンガ・ケルマディック海溝の南の延長は、ニュージーランドの南島に上陸し、同島を縦断して南のマッコーリ海溝につながっています。両海溝の接続部が南島を縦断する部分にはアルパイン断層が形成されています。同断層はトランスフォーム断層という点では、アメリカのサン・アンドレアス断層と同じですが、サン・アンドレアス断層が海嶺と海嶺をつなぐ断層であるのに対して、アルパイン断層は海溝と海溝をつなぐ断層という点で異なっています。

今回の大地震はこのアルパイン断層の南端部とマッコーリ海溝の接続部付近で発生した逆断層型と考えられます。USGS(米国地質調査所)の発表したこの地震の発震機構解は以下にあります:

2009年7月22日水曜日

気象衛星がとらえた皆既日食

月の影が地球の表面を移動していく様子を気象衛星から撮影した写真と動画を、気象庁のホームページで見ることができます:
月の黒い影が西から東に、上に凸の曲線を描きながら移動していく様子がよくわかります。月の本影に入っている場所では皆既日食、半影に入っている場所では部分日食が見えることになります。

上記ページの GIF 動画は、ブラウザーによってはうまく再生できないようです。私の環境の場合、Firefox(3.0.11)と Google Chrome(2.0.172.37)では正常に最後まで再生できますが、マイクロソフトの Internet Explorer(7.0.5730.13)では 10:15 の映像のところで中途半端な折り返し再生になってしまいます。

日食と迷信

この記事を書いている時点(日本時間 10時10分)で、インドではすでに皆既状態が終わっています。同地では、日の出の太陽が、欠けた状態で地平線から昇ってくる地域もありました。

科学の発達した現代でも、迷信深い人は多いものです。以下はインドの新聞に掲載された記事です。読者に日食にまつわる迷信を捨て去ろうと呼びかけています:
上記の記事には、インドで流布している日食にまつわる迷信がいくつか紹介されています:
  • 日食がもたらす「悪い光線」を避けるために、日食の間は家に閉じこもる。
  • 日食による穢れを洗い落とすため、日食の後に聖なる川で沐浴する。
  • 妊娠中の女性は日食中は裁縫をしない。さもないと、胎児に奇形が発生する。
  • 日食の最中には病原菌が増えると信じられているため、調理や飲食を避ける。また、日食前に調理された食物は、日食後に廃棄される。
インドの占星術師は、「日食後の数日間、地域的な暴動が発生する確率が高い」、「東南アジアは自然災害に見舞われ、欧米とイラン間では緊張が高まり、土星が獅子座から乙女座に入る9月9日以降に米国が軍事行動に出る可能性がある」などと警告しています。もちろん、科学的な根拠などありはしません:
中国政府も皆既日食をきっかけとした社会不安を警戒しています:

2009年7月21日火曜日

皆既日食と動物の行動

明日 22日、インドでは日の出とともに日食が始まります。インドの国立公園や動物園では、皆既日食が動物の行動にどのような影響を与えるかを調査するプロジェクトが進行中です。皆既日食の 1週間前から、哺乳類、鳥類、爬虫類の行動が、その道 15年から 20年のベテラン監視員や飼育員によって記録され、皆既日食中の行動と比較されることになっています:
動物は日の出や日没によって体内時計を調節し、鳥類では姿勢や方向感覚に太陽が影響していると言われており、皆既日食によって行動が変化する可能性があるとのことです。

iPhone で地震計測

私は NTTドコモの携帯電話を長年使っています。最新の第3世代 FOMA ではなく、第2世代の mova です。今年になって突然、ドコモから mova のサービスを 2012年3月末で打ち切るとの通知が郵送されてきました。以下はドコモのホームページに掲載されている報道発表資料です:
契約してから 10年も経っていないのにいきなりサービス打ち切り通知。この仕打ちはひどい。ドコモは、mova の使用者に対して「FOMA サービスへの契約変更に際しては、事務手数料を無料とさせていただいているほか、対象機種をご購入された場合に、端末価格を割引するキャンペーンを実施しております」と慇懃無礼かつ恩着せがましく述べています。しかし、勝手に新しい規格を導入し、旧規格のサポートを打ち切ることによって、旧規格の使用者に余分の手間や出費を強いていることに変わりはありません。事務手数料を無料にするのは当たり前のことですし、端末にしても無償で最小機能の第3世代機種への交換に応じても良いくらいのものです。

アナログ・テレビ放送の打ち切りや、旧 Windows のサポート終了、旧 Windows 向けディバイス・ドライバーに対する互換性無視、白熱電球の生産縮小・打ち切り計画など、最近この種の話が多すぎます。電波の有効利用、技術の進歩、環境対策など理由は色々あるとは思いますが、互換性のない規格に移行することへの企業の躊躇が減り、歯止めが弱くなっているように感じます。

TV 放送がモノクロからカラーに変わったときには、それまでのモノクロ TV 受信機が問題なく使える方式が採用されました。通信回線が同軸ケーブルから光ファイバーに変わっても、インターネット端末にはなんの変更も要求されません。

旧規格と新規格の間の互換性にあまり拘泥しない傾向は、マイクロソフトが Windows で市場の覇権を握ってから目立つようになったように感じます。Windows はバージョンが上がるたびに、それまで使えていたディバイス・ドライバーなどの互換性が失われることが多く、周辺機器が使えなくなることがしばしば起こりました。それに比べると、マイクロソフト以前にコンピューター市場を席巻していた IBM は互換性の維持にきわめて神経質でした。新しいハードウェアやソフトウェアを発表する際には、それまでの製品との互換性を徹底的にテストし、どうしても技術的に互換性を保てないときには、「マイグレーション・パス」という解決策や優遇策をユーザーに提示していました。

かつて、マイクロソフトと IBM は共同で「OS/2」という PC 向けの OS を開発していた時期があります。その後、マイクロソフトは IBM と袂を分かって Windows の単独開発に走ることになるのですが、その一因には IBM が求める厳密な互換性の維持に嫌気がさしたことがあるとも言われています。また、IBM が凋落した原因は、ダウン・サイジングの波に乗り遅れたことに加えて、互換性の維持に汲々として新製品の開発が長引き、新市場への対応が後手後手にまわったことも要因の一つと考えられています。

話がだいぶそれてしまいました。mova のサービスを打ち切るドコモへの腹いせで、携帯電話をソフトバンクの iPhone に変えることを検討しています。以前から、日本製携帯電話のメニュー構造の一貫性のなさに辟易し、文字入力のチマチマした島国根性的みっともなさに嫌悪感を抱いていた私にとって、iPhone は非常に魅力的です:
iPhone のアプリケーションについて調べているうちに、以下の記事に遭遇しました。イタリアで今年 4月に発生したラクイラ地震をきっかけにして、iPhone の無料アプリーケーション “iSeismometer” のダウンロードが急増したという内容です:
“iSeismometer” は iPhone に搭載されている 3軸加速度センサーを利用して、地震波を 3次元で記録し、スペクトル解析などをすることができるアプリーケーションです。以下のページに “iSeismometer” が稼働している状況を写した動画 2編があります:

2009年7月19日日曜日

アポロは月に行っていた

「アポロ宇宙船は月に行っていなかった」と、テレビ番組などで真顔で主張する人がいるのには、毎度のことながらあきれてしまいます。そんな人たちにとって悪夢の瞬間がやって来ました。今年 6月に月を周回する軌道に入ったアメリカの月探査機 LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)が、月面に残された 6機のアポロ着陸船の基部うちの 5つを撮影することに成功しました。宇宙飛行士によって月面に設置された科学機器や、宇宙飛行士が歩いた足跡も見分けられる解像度の高さには感嘆するばかりです:
ハッブル宇宙望遠鏡でも解像度の限界から捉えられず、日本の月探査機「かぐや」も撮影することができなかったアポロ着陸船の基部がしっかりと写っています(着陸船の上部は、地球に帰還するために打ち上げられ、月面には残っていません)。これらの写真は、LRO が月面を精査するための軌道に入る前に撮影されたもので、搭載カメラの解像力が十分に発揮されているわけではありません。今後撮影される写真の解像度は、今回発表された写真の 2倍から 3倍になるとのことで、非常に楽しみです。

2009年7月1日水曜日

しばらく更新が滞ります

昨年 12月にこのブログを始めて以来、予想以上に多くの方々にこのブログを訪れていただき、たいへん感謝しております。

このたび、しばらくの間ですがインターネットへの接続が困難な場所に赴くことになりました。その間、このブログの更新が滞ります。予定どおり無事に帰ってこられれば、7月 17日(金)に更新を再開できる見込みです。

再開の暁に、またこのブログを訪れていただければ、たいへんうれしく思います。

では、それまで ……