2025年2月26日水曜日

移動するイエローストーン・カルデラ

 
 
 
ハワイ諸島についてはよく語られることですが、イエローストーン火山系もホットスポット上をプレートが移動することによってカルデラの列を形成しています(地図)。 以下は米国地質調査所(USGS)の "Yellowstone Caldera Chronicles" の記事です:
 
上記記事からの抜粋・テキトー訳です ——
 
噴火パターンや外観に違いがあるにもかかわらず、イエローストーンとハワイには根深い類似点がいくつかあります。世界中の火山系のほとんどは、沈み込み帯(ある地殻構造プレートが別のプレートの下に滑り込む場所、米国西部のカスケード山脈の下など)か、プレートの発散境界(地殻が引き離されるにつれてマグマが上昇する場所、大西洋中央海嶺沿いのような海盆の真ん中でよく見られます)に関連しています。しかし、ハワイとイエローストーンの火山活動は、マントル・プルームによって引き起こされます。マントル・プルームでは、地球のマントルが異常に高温で、浮力によって上昇しています。高温のマントルが浅いところまで上昇すると、溶融が起こり、火山噴火を引き起こすマグマ・システムが発達します。
 
マントル・プルームはプレート・テクトニクスとは独立して機能し、地球のテクトニック・プレートがその上を移動してもほとんど静止したままです。その結果、ハワイやイエローストーンのようなマグマ・システムは、長さに沿って年代が進む火山列を形成します。たとえば、過去1600万年の間に、現在イエローストーン・カルデラにマグマを供給しているホットスポットは、オレゴン州南東部とネバダ州北部のマクダーミット・カルデラからワイオミング州北西部のイエローストーン・カルデラまで広がるいくつかのカルデラ・システムを生み出しました。今では埋もれているこれらの火山系は、いずれもイエローストーン・カルデラと似ており、プレート運動によって火山系がホットポットから遠く離れ、マントル・プルームからのマグマ供給が遮断される前に大規模な爆発的噴火を起こしました。最終的に、それまでの火山の北東でマントル・プルームの新しい地殻位置の上に新しい火山の中心が形成されました。アイダホ州南部のスネーク川平原東部は、イエローストーン・カルデラから南西に移動するにつれて古くなるこの「古代イエローストーン」の連鎖を示しています。
 
同様に、現在ハワイの下にあるホットスポットは、過去8000万年の間にハワイ海嶺(Hawaiian Ridge)- 天皇海山列(Emperor Seamount chain)を形成しました。この火山の連なりは、ハワイ諸島から太平洋を越えて北西に行くほど古くなります。最も古い「古代ハワイ」は、ロシアのカムチャッカ半島沖にあります。
 
イエローストーンとハワイはどちらもマントル・プルームによって活動しているのに、なぜこの 2つの火山システムの挙動はこれほど異なるのでしょうか。理由はたくさんありますが、おそらく最も重要なのは両者の地殻の性質が異なっている点です。ハワイは海洋地殻の上にあり、その厚さはイエローストーンのある大陸地殻(厚さ約 45km)よりもはるかに薄い (約 10 km) のです。地殻が薄いため、マグマはより速く容易に上昇することができます。つまり、マグマは結晶化したり地殻と相互作用したりする時間がなく、流動性のある、つまり粘性の低い玄武岩質溶岩流として噴火する傾向があります。噴火はより頻繁に発生し、噴出量は少なくなる傾向があります。対照的に、イエローストーンの下にある厚い大陸地殻は、マグマが簡単に上昇することを妨げます。その結果、このマグマは地殻内で停滞して蓄積します。このプロセスによって、時間が経つにつれて、イエローストーンの下にある地殻のほとんどに広がる大規模なマグマ系が発達しました。このマグマ系には、イエローストーンの劇的な噴火の源となる上部地殻(深さ 5~19 km)の大きな流紋岩マグマ溜りが含まれています。
 
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