2009年4月30日木曜日

「メキシコ風邪」と地震の名前

海外では豚インフルエンザを「swine influenza」あるいは「swine flu」("swine" は豚の意)と呼んでいますが、すでに複数の感染者が確認されているイスラエルの保健副大臣が、これを「Mexican influenza」(メキシコ風邪)に改めるべきだと発言しています。理由は、豚肉を不浄のものと見なして食用にしないイスラム教徒やユダヤ教徒の感情に配慮すべきだということです。
記事では、この発言について科学者の反応も記載しています:
科学者たちは、今回の新型豚インフルエンザが、元々どこで発生したものか解明できていない。彼らは、ウィルスがメキシコ由来のものであるという根拠は(現時点では)ないし、そのようなレッテルを貼ることは汚名を着せることになりかねない、と話している。
「スペイン風邪」、「ソ連風邪」などの前例はありますが、当然メキシコ政府は反発することでしょう。おそらく、国際社会も「メキシコ風邪」という名称を公式に使うことはないと思います。

この件に関連して思い出すのは、大地震の命名です。インフルエンザの場合とは逆に、各自治体が自分たちの名前を織り込もうと運動するようです。兵庫県南部地震(M7.3)も、最初のうちは「阪神大震災」だったものが、最終的には「淡路」が付くことになりました。1983年の日本海中部地震(M7.7)の場合は、当初「秋田沖地震」、「日本海秋田沖地震」などと報道されていたものが、被害を受けた他の県からの要求もあって、公式には日本海中部地震になりました。震央は、日本海中部というよりは、秋田県や青森県の沖合と呼んだ方が適切な場所だったのですが。このような現象が起きるのは、地震の名前が、各自治体への支援の優先度や義捐金の配分などに影響するからだそうです。