『プレジデント』誌所載、鎌田浩毅・京都大学大学院教授執筆の記事です:
内容は概略以下のとおりです:
9世紀、東北地方沖で発生した貞観地震(西暦869年、Mw>8.7)を契機に日本は大地動乱の時代に入った。貞観地震の再来といわれる東北地方太平洋沖地震(2011年、M9.0)によって、日本は再び大地動乱の時代に入った。
「地球科学には『過去は未来を解く鍵』というフレーズがある」、「1960年以降に日本で起きた地震の発生場所は、9世紀のそれらとよく合う」。
貞観地震の9年後には関東中央部で相模・武蔵地震(関東諸国大地震、878年、M7.4)と呼ばれる大地震が起きた。さらにその9年後には南海トラフで仁和地震(887年、M9クラス)が発生。東海・東南海・南海が連動した巨大地震だった。
南海トラフ沿いの巨大地震は90~150年おきに発生し、3回に1回は超弩級の地震になる。次回はそれに該当し、南海トラフで起きる地震は東海・東南海・南海が連動する最大・最悪のものになる(推定 M9.1)。発生時期を正確に予測するのは不可能だが、「古地震やシミュレーションのデータから、西暦2030年代に起きるだろう」。
2011年の東北地方太平洋沖地震の9年後は東京オリンピックが開催される2020年。「首都圏に近い関東中央で直下型地震」が発生し、そのさらに9年後は2029年で、南海トラフ巨大地震が発生しても不思議ではない時期である。
被災地は産業・経済の集中する太平洋ベルト地帯で、「東日本大震災よりも1桁大きい災害になる可能性が高い。すなわち、人口の半分近い6000万人が深刻な影響を受ける『西日本大震災』だ」。
「2030年代に起きるとされる南海トラフ巨大地震は、発生の時期が科学的に予想できるほとんど唯一の地震だ。巨大災害に向けて準備を始めてほしい」。
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