3月14日付「九重山で地殻変動 ― 大分県竹田市」の続報です。
気象庁が11月11日に発表した「九重山の火山活動解説資料(平成26年10月)」(PDF形式)によると、九重山(地図)の地下の温度が上昇に転じたとのことです。以下は上記からの引用です:
2012 年頃までは帯磁傾向が続いていましたが、23 日に実施した全磁力観測では、硫黄山C領域の北側にある MN1 は前回(2013年11月6日)と比較して磁力の増加に、南側にある MN2、MS1、MS2、MS3 は磁力の減少となり、消磁傾向になっていました。このことは、硫黄山C領域の表面では熱異常域の面的分布は縮小していますが、地下の温度が上昇に転じたことを示唆しています。
物質は温度が上昇すると磁気を失う性質があります。火山の地下の岩石も同様です。このことを利用して地下の温度の上昇や下降を推定するのが全磁力観測です。火山の地下で、マグマの上昇などによって温度が上昇し岩石の「消磁」が起こると、地磁気との関係で、山体の北側で全磁力が増加し、反対に南側で減少します。詳しくは、以下の解説をご覧ください:
なお、昨年11月6日に実施された全磁力観測では、「帯磁傾向の鈍化から硫黄山の熱源の温度の低下の変化が少なくなってきている」とされていました。
九重山の地殻変動については、「一部の基線(上野-坊ガツル、坊ガツル-牧ノ戸峠、星生山北山腹-坊ガツル、星生山北山腹-直入A)で、わずかに伸びの傾向が認められます」となっています。九重山について観測している基線は6本です。そのうちの4本で伸びの傾向が現れているわけですから、「一部の基線」という表現は妥当ではないと思います。
前回の記事の時点では、伸びの傾向があるのは2本の基線(坊ガツル-牧ノ戸峠、星生山北山腹-坊ガツル)でしたから、新たに2本の基線(上野-坊ガツル、星生山北山腹-直入A)でも伸びの傾向が認められるようになったようです。山体膨張の範囲が広がってきたということでしょうか。
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