2014年11月10日月曜日

史上初の彗星着陸へ ― ロゼッタ探査機


10月14日付「異形の彗星 ― ロゼッタ探査機が撮影 (続報-7)」の続報です。

11月12日午後5時35分(日本時間)、〝67P/チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星〟を周回中のロゼッタ探査機から彗星着陸機フィラエが切り離され、13日午前0時30分ごろに同彗星の表面に着陸する予定です。ロゼッタがフィラエを切り離すのは、彗星の中心から測って約22.5kmの高度で、フィラエは約7時間かけて彗星の表面まで降下します。

当日、彗星から地球への電波の到達には28分20秒ほどかかるので、切り離しや着陸の成否を伝える信号が地球に届くのは、それぞれ12日午後6時過ぎ、13日午前1時過ぎになります。

以下は、ロゼッタがフィラエを切り離すまでの様子を描いた「カワイイ」動画です:

フィラエ着陸機が軟着陸する場所は、これまで暫定的に「サイト-J」と呼ばれていましたが、公募の結果、「アギルキア」という名前がつけられました。古代エジプトのフィラエ神殿がアスワン・ハイ・ダムの建設によって水没することになったとき、同神殿をフィラエ島からアギルキア島に移築したことに因んだ命名です。

チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星は、大小2つの塊が接合したような形をしており、ある方向から見ると子どもが水遊びで使うアヒルのおもちゃのように見えます。アギルキアは、小さい方の塊、つまりアヒルの頭のてっぺんに位置しています(写真)。

フィラエは、着陸直後に本体下から銛を発射して自身を彗星に固定します。さらに、3本の着陸脚にあるネジを彗星表面にねじ込んで固定を確実にします(BBCのサイトが掲載している説明図の「5」が銛、「3」がネジ)。彗星の表面が想定より固かったり、柔らかかったりした場合には問題が生じる可能性があります。

フィラエ自身には推進装置が搭載されていません。したがって、彗星着陸の成否は、切り離し時点でのロゼッタの位置や速度にすべてがかかっています。以下は、BBCのサイトが掲載しているフィラエの着陸ゲームで、今回の着陸の難しさを体験できます。画面下部のバーで切り離しの高度と速度を調節して、〝Launch〟(発射)ボタンをクリックしてください:

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