2014年11月21日金曜日

蔵王山で火山性微動、火山性地震増加、傾斜計にも変化 ― 宮城県 (続報-19)


10月17日付「蔵王山で火山性微動、火山性地震増加、傾斜計にも変化 ― 宮城県 (続報-18)」の続報です。

11月18日から19日にかけて、蔵王山(地図)で火山性微動が4回発生しました。その内の1つは規模が大きく、同時に地殻変動も観測されました:
  1. 火山名 蔵王山 火山の状況に関する解説情報 第2号(平成26年11月20日10時00分  仙台管区気象台)
  2. 蔵王山の火山活動解説資料(平成26年11月20日17時30分) (PDF形式)

以下は、上の(2)からの抜粋です:
11月18日から19日にかけて、火山性微動が4回発生しました。このうち、19日21時49分頃に発生した微動(継続時間約7分30秒、最大振幅4.3μm/s[坊平観測点])は、2013年1月以降発生している微動と比較して、規模が大きなものでした。また、18日15時13分頃に発生した微動は、周期の長い波形が含まれていました。

坊平観測点(山頂の南西約5km)の傾斜計では、19日21時49分頃の火山性微動の直前にわずかな南東(山頂の南側)上がりに変化し、発生直後に南東下がりの変化がみられました。

以下の表は、昨年1月22日に蔵王山で観測開始以来初めてとなる火山性微動が発生してからの推移をまとめたものです。じわじわと火山活動のレベルが上がってきているようです。最初の兆候が現れてから噴火に至るまでの時間が長いほど、ひとたび噴火が始まったときには大噴火となるケースが多いように思います。蔵王山は、2011年に起きた東北地方太平洋沖地震の震源域に最も近い火山の1つですので、その面からも大噴火の可能性が懸念されます:

月日 事象
2013年
1月22日
火山性微動、観測開始(2010年9月1日)以来はじめて
1月27日 火山性微動
4月5日 低周波地震が一時的に連続して発生
4月5日
~11日
東北大学・蔵王観測点の傾斜計に変化
4月7日 坊平観測点の傾斜計で南東方向(山頂の南側)が上がるような変化、火山性微動(継続時間 3分20秒)
4月9日 火山性微動(継続時間 4分20秒)
4月21日 坊平観測点の傾斜計で南東方向(山頂の南側)が上がるような変化、火山性微動(継続時間 5分40秒)、低周波地震が一時的に連続して発生
6月4日 火山性微動(継続時間 2分20秒)
7月17日 火山性微動(継続時間 3分10秒)
7月18日 坊平観測点と東北大学・蔵王観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 3分10秒)
7月31日 火山性微動(継続時間 5分40秒)
10月19日 坊平観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 16分57秒)
10月23日 火山性微動(継続時間 1分30秒)、直後に計測基準未満の火山性微動も。その後、23日05時ごろから24日08時ごろにかけて火山性地震がやや多い状況
11月1日 坊平観測点の傾斜計に変化、火山性微動(継続時間 2分30秒)。火山性微動の発生後に微小な火山性地震。10月下旬以降、火山性地震がやや多い状況。
12月4日 火山性微動(継続時間 3分40秒)。微動発生前後に低周波地震が4回発生。火山性地震もやや増加。
12月8日 坊平観測点および蔵王観測点で傾斜変動、直後に火山性微動(継続時間 8分)。火山性地震はやや増加した状態で推移。
2014年
1月3日
火山性微動(継続時間 1分)。微動発生後に火山性地震が4回発生。
8月6日 火山性微動(継続時間 8分)。微動発生後、御釜直下付近の浅いところを推定震源とする火山性地震がやや多い状況。全て低周波地震。7日にかけて55回発生、8日になって減少傾向。火山性微動発生の前から傾斜計に南東(山頂の南側)上がりの変化、9日13時ごろに終息。
8月8日 火山性微動(継続時間 短い)
8月10日 火山性微動(継続時間 短い)
9月4日 火山性微動(継続時間 短い)
9月30日 火山性微動(継続時間 4分)。微動発生に先行して南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動。微動発生後の30日19時ごろから10月1日17時ごろにかけても、南東上がりの傾斜変動。10月1日6時ごろから2日14時ごろにかけて火山性地震が9回発生し、一時的にやや多い状況。
10月5日 火山性微動(継続時間 短い)
10月8日 火口湖「御釜」が一時的に白濁
10月9日 火山性微動(継続時間 短い)
10月10日 火山性微動が2回発生(いずれも継続時間短い)
10月19日 火口湖「御釜」が一時的に白濁
11月18日 火山性微動(継続時間4分超、周期の長い成分を含む)
11月19日 火山性微動が3回発生(継続時間約7分30秒、1分30秒超、1分超)、1番目の微動は、これまでと比べて規模が大きく、南東(山頂の南側)上がりの傾斜変動が先行、微動発生直後に南東下がりの変動。


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