欧州宇宙機関(ESA)が2004年3月に打ち上げた彗星探査機ロゼッタが、目標とする 67P/チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星に近づいています。
下記のページは6月19日に公開されたものですが、ロゼッタに搭載されたオシリス(OSIRIS: Onboard Scientific Imaging System)によって撮影されたチュリュモフ-ゲラシメンコ彗星の画像が掲載されています。撮影は6月4日におこなわれ、ロゼッタと彗星の距離は43万km(地球-月の約1.13倍)でした:
- Rosetta Closing In (画像あり)
- Rosetta’s comet: expect the unexpected (画像あり)
4月末に撮影された画像では、彗星の周りに塵の雲(コマ)が認められたのですが、上記の画像ではコマは認められません。想定外のことですが、彗星は休止状態に入っていると考えられています。
現在、ロゼッタは地球-月間の距離の半分程度まで彗星に近づいています。
ロゼッタは今年1月に冬眠状態から覚醒しました。8月に彗星のまわりを回る周回軌道(半径約25km)に入り彗星の表面を詳細に観測、11月には搭載しているフィラエ探査機を分離して彗星の表面に着陸させることになっています。フィラエは、彗星の表面にドリルで穴を掘って彗星の構成物質を調査する予定です。彗星の周回、着陸、掘削はいずれも人類初の試みです。ブルース・ウィリスを除いて、ですけれど。
チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星は2015年8月に近日点を通過します。ロゼッタとフィラエは周回軌道と着陸状態を保ったまま、2015年12月まで観測を続けます。太陽からの放射によって彗星の表面が変化し、コマや長大な尾を成長させていく過程を至近距離から観測することになります。
ロゼッタ、オシリス、フィラエは、いずれも古代エジプト文明に関連する名前です。
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