白色矮星 WD 0810-353 が太陽系の方向に進んでいる、2万9000年後に太陽に 0.5光年の距離まで近づき太陽系外縁部のオールトの雲に突入する、彗星やその他の氷の天体からなるオールトの雲が白色矮星の重力によってかき乱されると、それらの天体が太陽系内部に落下し、地球などの惑星は大きな被害を受けることになる、という説が昨年発表されました。
しかし、新たな研究によると、少なくとも地球は、暴走する白色矮星 WD 0810-353 が引き起こす太陽系の擾乱によって壊滅することはないようです。この暴走星は太陽系を逸れるだけではなく、ことによると地球の方向にはまったく進んでいない可能性さえあるのだそうです。
なぜこのような「誤報」が起きたのでしょうか —— この白色矮星が太陽系の方向に進んでいると考えられた理由は、星が発する光のスペクトルが青方偏移を示していることでした。しかし、星からの光のスペクトルは磁場の影響を受ける可能性があります。実際、白色矮星 WD 0810-353 は非常に強い磁場を持っており、追加の観測と星の磁場のモデル化などによって、当初考えられた白色矮星の軌道と速度は、強い磁場の影響を受けていた可能性があることを見いだされた、とのことです: