2023年11月21日火曜日

噴火警報 — アイスランド (補足-4)

 
11月14日付「噴火警報 — アイスランド (補足-3)」の補足です。

以下は、アイスランド気象局が日本時間 11月20日22時20分に発表した "Clear evidence of uplift in Svartsengi" (スヴァルツェンギにおける隆起の明白な証拠)の概略です。マグマが貫入している場所から北に数km の地域で急激な隆起が生じていますが、噴火の可能性が高いのはやはりマグマが貫入しているグリンダヴィーク近傍であるという見解です:
  • ここ数日、マグマが貫入している地域では毎日 1500回から1800回の地震が記録されており、最大の地震は 11月17日に発生した M3.0 であった。

  • 11月18日と19日のレーダー画像に基づいて作成された、マグマ貫入している場所とその周辺地域の最新のインターフェログラム()は、スヴァルツェンギ(Svartsengi、地図)付近の著しい地盤隆起を示している。

  • スヴァルツェンギ付近で現在進行中の急激な隆起は、11月10日にマグマ貫入が始まる前に隆起が観測されたのと同じ地域で発生している。衛星画像から得られた測地モデルは、スヴァルツェンギ地域の隆起が以前よりもかなり速くなっていることを示している。

  • 一般に、マグマの貫入が生じると、グリンダヴィーク(Grindavík、地図)で見られるように、貫入の中心軸上で地盤沈下が起こり、それに隣接した地域で地盤隆起の兆候が見られる。スヴァルツェンギ地域の地盤隆起は深部に蓄積したマグマによるもので、11月10日に貫入が始まって以来、観測されている。当初は、隆起の兆候は貫入の形成の影響を受けていたが、現在では深部マグマの蓄積の影響が卓越していることが明らかである。

  • スヴァルツェンギ地域の地盤隆起は、(グリンダヴィーク付近の)マグマ貫入からの噴火の可能性を変えるものではない。これは、(グリンダヴィーク付近の)マグマ貫入部の地殻がスヴァルツェンギ付近の隆起地域の地殻よりもはるかに弱いという事実に基づいている。

  • スヴァルツェンギ地域で大きな地震活動がない限り、同地域で噴火が起こる可能性は高くない。噴火の可能性が高いのはやはり(グリンダヴィーク付近の)マグマ貫入部であり、特に貫入部にマグマが突然大量に流入した場合である。