海洋研究開発機構(JAMSTEC)のサイトに掲載されている「研究者コラム」です。南海トラフの地震による応力変化を計算し、石川県能登地方と京都府南部の地震活動が、南海トラフとどの程度関連しているのかを考察しています:
内容の概略
- 近畿地方における内陸地震は南海トラフの巨大地震の50年前〜10年後に頻発すること(いわゆる西南日本活動期)が知られている。
- 昭和の巨大地震(1944年東南海地震・1946年南海地震)の発生から70年以上が経過し、西南日本が地震の活動期に入っていると考えられる。
- 西南日本では、1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)以降、2001年鳥取県西部地震、2016年熊本地震など、それ以前の数十年間にはほとんど発生していなかったM7級の地震が発生している。
- 応力変化を計算すると、石川県能登地方の地震は南海トラフの影響はほぼ無視できる程度で、南海トラフの関連が弱いタイプ。一方、京都府南部の地震活動については、1944年の東南海地震と1946年の南海地震後に減少した応力状態が、断層強度近くまで回復していることが示唆され、西南日本の地震活動期における地震活動の一環として捉えることができる。