2022年5月18日水曜日

インサイトの終活始まる

 
NASAの火星探査機インサイトは、2018年11月に火星のエリシウム平原(地図)に着陸し、熱流量計の埋設には失敗したものの、地震計の設置には成功して多くの地震を観測し、火星の地殻、マントル、コアの深さと組成を測定するなど、火星の内部構造の解明に多大な貢献をしてきました。しかし、最期の時が迫っているようです。
 
インサイトの太陽電池パネルは多量の塵が積もり発電量が低下しています。さらに、季節の変化により、着陸地点のエリシウム平原では今後大気中の塵が増え、太陽光が減少して発電量の低下に追い打ちをかける見込みです(火星探査車のキュリオシティとパーシビアランスは、放射性プルトニウムを熱源とする原子力電池を搭載しているので塵の影響を受けません)。
 
現在の電力低下率では、5月末以降、地震観測装置以外の機器に電力を供給する余力はなくなり、12月ごろにはさらなる電力低下によって、ある日突然、インサイトが応答しなくなることが予想されています。このため、5月末にはインサイトのロボット・アームを最後の静止姿勢(リタイアメント・ポーズ)にし、アームの運用を停止する予定とのことです:

上の記事内の画像では、太陽電池パネルに塵が分厚く積もっている様子がわかります。画面左下の機体表面にナメクジが這ったような跡がありますが何なのでしょうか。そばの白いケーブルが風で動いてつけた跡にしては形状が不自然です。
 
私は、学生時代に月面探査機を擬人化したショートショートを書いたことがあり、初代「はやぶさ」を擬人化し「はじめてのおつかい」にたとえて地球帰還で燃え尽きるまでを描いた漫画に涙ぐんだことがあるのですが、以下の4コマ漫画もしんみりとさせてくれます:
死に神「そろそろ逝く時間です」
インサイト「私は良い着陸機だったのでしょうか?」
死に神「いいえ」
死に神「あなたは最高だったと聞いています」