10月15日、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング中のロシアの宇宙船ソユーズ MS-18 で、スラスター(姿勢制御や軌道の微修正などに使う小型の噴射装置)が異常噴射を起こし、ISS が傾く事故が発生しました:
この日、ロシア人宇宙飛行士と、ISS に短期滞在していたロシアの映画監督と女優が地球に帰還するための準備として、ソユーズ MS-18 のスラスタの噴射テストを行ったところ、噴射が予定時間内に止まらず、ISS が通常の姿勢から 57度傾く事態になりました。30分ほどで ISS の姿勢は回復し、日本人宇宙飛行士(星出彰彦氏)を含む ISS の乗員に危険はなかったとのことです。
異常噴射の原因は調査中ですが、噴射が止まった理由もわかっていないとのことです。NASA のフライト・ディレクターであるティモシー・クリーマー氏は、「確証は得られていないが、スラスターが推進剤を使い切ったために噴射を停止したと考えている」と語っています。
同じような事故は 7月29日にも発生しています。ロシアのモジュールでスラスターの想定外の噴射が発生し、ISS が 540° も回転してしまいました。ロシア側はソフトウェアの不具合が原因だったと説明しています:
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